【パリ時事】フランスの法令審査機関、憲法会議は14日、マクロン政権が強行採択した年金改革法について、合憲と判断した。ボルヌ首相は同法が「民主的プロセスの仕上げに到達した」とツイッターで宣言し、速やかな施行を目指す姿勢を改めて強調した。定年の2年延長に反対する労働者らは大規模なデモやストを約3カ月にわたって続けてきたが、抗議が収束に向かうか注目される。
同法は年金支給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げるのが柱で、世論調査では国民の約6割が拒否反応を示している。政権は3月、憲法の特例規定を行使し、下院での採決なしで法案を採択。極右や急進左派などの野党がこれに猛反発し、審査を求めた。
憲法会議は年金改革法の細部6カ所を不適としたものの、大筋では承認。政権は不適部分を削除した上で同法を施行できる。
一方、極右・国民連合のルペン氏は「年金改革の政治的な行方は定まっていない」と述べ、徹底抗戦の構えを見せた。また左派は、定年延長の阻止を懸けた国民投票の実施に向け、別途法案を提出。憲法会議によって14日に退けられたが、引き続き同様の戦術を展開するとみられる。
労組は13日、12回目となる大規模デモを各地で行った。ただ、参加者は約38万人と、100万人を数えた以前の抗議行動から大きく減少した。仏メディアによると、マクロン氏は18日に対話に応じるよう労組に呼び掛けた。
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▽仏年金改革、9月実施へ 法律公布、極右に追い風<時事ドットコム>2023年04月16日08時10分