デフレ体質にどっぷり浸かった日本経済。これを変えるために必要なものは「マインドチェンジ」だと言われている。バブル崩壊から30年、この間日本人の心を支配してきたのは、モノやサービスの値段は上がらないという確信だ。モノやサービスの値段は下がるのが当たり前、そんな中で賃金は下がらないだけマシ、上がることなどあるはずがない。これが多くの人の心を支配していた社会通念だった。そして日本経済という面から見れば、これこそが長期にわたる低迷の原因だった。これをぶち壊したい。そんな思いを込めて始まったのがアベノミクスであり、異次元緩和だった。その試みが10年続いた。だが、何も変わらなかった。異次元緩和は黒田前総裁の後を継いだ植田氏に引き継がれ、現在も続いている。そんな中で日本人のマインドが少しずつ変わりはじめているという。
昨日、日銀の支店長会議が開かれた。ロイターによると「賃金について、人手不足感の高まりや物価上昇を受けて、中小企業でもベアを久しぶりに実施するなど『賃上げの動きが広がっている』との報告が多かった。会議後に記者会見に臨んだ支店長からは、賃上げの持続には価格転嫁や生産性の向上が重要になるとの指摘が出された」とある。具体的な報告内容を紹介しよう。中島健至大阪支店長(理事)、「過去にないマグニチュードでコストの価格転嫁が進んでいる」、「物価や賃金は上がらないとの固定観念の転換を期待させるいろいろな動きが出てきているのは事実」。浜田秀夫福岡支店長、「来年以降の賃上げもありうるという含意があるように感じている」「マインドチェンジが始まっているのではないか」。来年度以降も賃上げがありうるとの予感は、明らかにマインドチェンジを感じさせる発言だ。
広島鉄也名古屋支店長は中小企業の賃上げについて、「大企業より多少伸び率は落ちるものの、例年に比べてかなりしっかりした伸び率になる」との見方を示した。植田総裁は会議の冒頭、「本支店から寄せられるミクロ情報の重要性は一段と増している」と述べている。そのミクロに動きが出ているようだ。そういえば今朝の情報番組「めざまし8」では、ピザハットが18日から配達料を有料にして一件あたり250円を徴収していると紹介していた。飲食店をはじめ配達量無料というのが日本人のこれまでの常識。どんなにコストがかかっても配達料はサービスという位置付けだった。過剰サービスというよりは、これでは経済が回らない。中小企業の納入価格を抑圧する大企業はいまやブラック企業の類だ。世界的に物価高騰が続く中で、アベノミクスにも異次元緩和にもできなかったマインドチェンジが動きはじめたようだ。普通にやれば日本経済、正常化するのではないか・・・。
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