[ロンドン 25日 ロイター] – イングランド銀行(英中央銀行)のブロードベント副総裁は25日、中銀はマネーサプライの指標を無視すべきでないとしつつ、量的緩和(QE)が過度のインフレを招いたという主張については、証拠に裏打ちされていないと述べた。シンクタンクの国立経済社会研究所で講演した。

一部の政治家やアナリストは、2008年金融危機や新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて英中銀やその他中銀が供給した膨大なマネーが、最近のインフレ高進の原因と主張している。

英消費者物価指数(CPI)は昨年10月に、前年同月比で11.1%上昇し、およそ40年ぶりとなる高水準を記録した。直近のデータによると、3月も10%を上回る上昇率を維持している。

ブロードベント氏は、新型コロナのパンデミックに伴う供給網の混乱や、22年のロシアによるウクライナ侵攻を受けた天然ガス価格の高騰が、マネーサプライよりもはっきりとした物価上昇の原因だと分析。

「金融政策担当者は、将来のインフレに関連する情報を無視すべきではない。マネーサプライも含まれる」とした上で「しかし、多くの経済統計と同様、解釈は必要だ。QEは中銀のバランスシートと共に商業銀行の預金(M4)を急拡大させ、過剰なインフレにつながったという主張は、証拠によって十分に支持されていない」との考えを示した。