厚生労働省が9日発表した3月分の毎月勤労統計調査(速報)で、物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月比で2・9%減った。減少は12カ月連続。名目賃金は増えているものの、物価の伸びに追いつかない状況が続いている。

 実質賃金は2022年度は毎月減少したことになる。年度を通じて減少が続いたのは、消費税率が5%から8%に上がった14年度以来8年ぶりだ。

 3月分の名目賃金にあたる基本給や残業代などを合計した1人あたりの現金給与総額は29万1081円で、0・8%増えた。22年はどの月も1%以上増えていたが、23年1~3月はいずれも0・8%増にとどまった。

 名目賃金を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者が1・3%増の38万82円。パートタイム労働者は2・1%増の10万1038円。全労働者に占めるパートの割合が0・54ポイント増えて31・86%になったことが、全体の賃金の伸びを抑えた。

 一方、実質賃金の計算に使う消費者物価指数は3・8%伸びた。直近のピークの1月(5・1%)からは2カ月連続で伸びが縮んだが、依然として高水準だ。(三浦惇平)