Craig Stirling、Anna Edwards

  • 銀行や商業用不動産から新たな「金融事故」のリスク-スブラン氏
  • 2008年の再来ではないが投資家は荒い動きに見舞われるだろう

市場が新たな「金融事故」の脅威にさらされつつ再調整入りすることに投資家は今後数カ月備えるべきだと、アリアンツのチーフエコノミスト、ルドビク・スブラン氏が呼びかけた。

  同氏は8日、「いわゆるミンスキー・モーメントの条件が全てそろっている」とブルームバーグテレビジョンの番組で述べ、「流動性逼迫(ひっぱく)が至る所で見られ始めている」と指摘した。ミンスキー・モーメントは債務膨張後の資産価格急落が始まるポイントを指す。

  スブラン氏は「商業用不動産と米地銀の連続破綻は懸念材料」だが、「私は企業のクレジットリスクのミスプライシングを不安視している。特に高利回り債のスプレッドが率直に言って今も小さ過ぎることが心配だ。ノンバンクの金融仲介事業者も注視している」と語った。

  積極的な利上げを特徴とする金融政策のグローバルな急転換が現在の緊張の理由だが、それだけではないと同氏は分析。

  「誰にとっても今問題なのは突然の金融引き締めだが、リスク管理の誤りという追加のレイヤー(層)がある」と論じ、「新たな金融事故は銀行セクターで起こるかもしれないし、商業用不動産に特化したヘッジファンド、あるいはその両方を震源として起こる恐れもある」と述べた。

  投資家は荒い動きに見舞われるだろうとした上で、「世界金融危機の再発とは思わない」が、積み重なった問題の「解放や浄化が今後数カ月により頻繁に起こることは確かだ」との見方を示した。

  スブラン氏は世界銀行やフランス財務省にも在籍していた。

原題:World Markets Face ‘Minsky Moment’ Danger, Allianz’s Subran Says(抜粋)