• プーチン氏は両面性と満たされぬ願望に悩む「ドストエフスキー型」
  • キッシンジャー元米国務長官、ブルームバーグのインタビューで発言

ウクライナでの戦争でロシアが軍事侵攻を断念し欧州との和平合意を受け入れるならば、プーチン大統領は政権維持が困難になるかもしれない。キッシンジャー元米国務長官はブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューでこうした見解を示した。

  キッシンジャー氏は「欧州との関係は合意と一種のコンセンサスに基づいていなければならないとロシアが認識することを望む。この戦争が適切に終結すれば、それが実現可能になるかもしれない」と述べた。戦争がそのような条件で終わった場合、プーチン大統領が政権を維持できるかとの質問には「ありそうにない」と答えた。

  キッシンジャー氏は、ウクライナが戦争状態から脱して強い民主主義国家として立ち上がることが重要だと述べるとともに、「ロシアの解体や、ロシアを怒りに満ちた無力状態におとしめる」ことは避けるのが望ましいと語った。また、プーチン大統領について「両面性と満たされない願望に悩まされるドストエフスキー型の人物」だと述べ、指導者として権力を行使する能力が非常に高く、ウクライナとの関係で「過度に」それを行使したと論じた。

  インタビューは6月7日にニューヨークで行われ、先日100歳を迎えたキッシンジャー氏の人生とキャリアを回顧した。

  プーチン氏は、四半世紀近くクレムリンで君臨する間にキッシンジャー氏を頻繁にロシアに迎えており、2012年の会談では、両氏の関係は、自身がサンクトペテルブルク市の副市長だった1990年代半ばまでさかのぼると述べていた。

  キッシンジャー氏はブルームバーグのインタビューで、プーチン氏はロシアの伝統的な考え方を受け継ぐと同時に、第2次世界大戦中に人口の半分余りが飢え死にし常に脅威に直面していたレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)の街で育った人物だとも述べた。

  プーチン氏はこうした生い立ちから欧州の軍事力がサンクトペテルブルクやモスクワのような大都市に簡単に届くようになることを決して望まず、その拡大に対し「極めて不合理に」反応したとキッシンジャー氏は指摘した。

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原題:Kissinger Says Putin Survival ‘Improbable’ If Ukraine Prevails(抜粋)