[フランクフルト 15日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は15日の理事会で、政策金利を予想通り0.25%ポイント引き上げた。利上げは8会合連続。根強いインフレを踏まえ、次回7月の会合でも利上げを継続する公算が大きいという見通しを示した

過去1年間での利上げ幅は4%ポイントで、過去最速ペースでの引き上げとなった。

ECBは、リファイナンス金利を3.75%から4.00%に、中銀預金金利を3.25%から3.50%に引き上げた。預金金利は22年ぶりの高水準となった。

ラガルド総裁は理事会後の記者会見で「ECBの主要金利はインフレ率を中期目標の2%にタイムリーに回帰させるために十分に制約的な水準に引き上げられ、必要な限りこの水準に維持される」と述べた。

また「ベースラインに重大な変化がない限り、7月も利上げを継続する可能性が極めて高い」とし、「(利上げの)一時停止は検討していない」とした。

さらに「理事会による過去の利上げは、資金調達条件に力強く伝わり、経済全体に徐々に影響を及ぼしている」とした一方、「(利上げの)旅路は終わっていない。まだ目的地に到達していない。まだやるべきことはある」と語った。

市場では決定前、7月か9月の0.25%利上げを織り込んでおり、年後半の9月あるいは10月ごろに追加利上げする可能性を見込んでいた。

ラガルド総裁は賃金の上昇と企業の利益拡大に向けた値上げがますますインフレの重要なドライバーになっていると言及。「インフレは鈍化しているものの、過度に長い期間、高過ぎる状況となる見通し」とした。

ECBは最新の見通しで、インフレ率が2025年まで目標の2%を上回って推移すると予想。「過去の意外な上振れや堅調な労働市場がディスインフレの速度に与える影響を考慮し、エネルギーと食料を除いたインフレ見通しを特に今年と来年について、スタッフは上方修正した」とした。

みずほのシニアエコノミスト、コリン・アッシャー氏は「インフレ見通しは全体的に上昇修正されたが、特に来年のコアCPI予測が引き上げられた」と指摘。「ECBは明らかに懸念を強めている」と述べた。

ECBはまた、3兆2000億ユーロ規模の資産購入プログラム(APP)の再投資を7月1日に終了することも決定。これは広く予想されていた。

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▽ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨<ロイター日本語版>2023年6月15日11:19 午後