[シントラ(ポルトガル) 28日 ロイター] – 近年のインフレ動向を見誤った世界の金融政策当局者は、もっと謙虚な姿勢で経済予想に臨まなければならない──。欧州中央銀行(ECB)がポルトガルの景勝地シントラで開催した年次国際金融会議「ECBフォーラム」で、当事者らからこうした反省の弁が聞かれた。

世界の中央銀行当局者は、約2年前に始まったインフレを「一過性」の現象だと決めつけ、頑固な物価上昇圧力を予想できなかったとして批判を浴びている。新型コロナウイルスのパンデミックからウクライナ戦争まで、相次ぐショックに経済予想モデルが対応できなかった格好だ。

国際通貨基金(IMF)のアルフレッド・カマー欧州局長はフォーラムで「(経済)予測は自らの至らなさを思い知らされる仕事だ」と語った。「過去1年半にわたり繰り返しインフレを過小評価し、見て見ぬふりをしてきたことを振り返ると、機敏に動く必要性を痛感する」とし、より柔軟なアプローチで予測する必要性を強調した。

経済協力開発機構(OECD)のチーフエコノミスト、クレア・ロンバルデッリ氏は「われわれは多くを学んできてもなお、謙虚でいなければならないのは明らかだ」とし、「われわれは他の全員と同じく、インフレの頑固さを過小評価し続けてきた」と振り返った。

ただ当局者らは、従来のモデルを破棄すべきだという考え方は退けた。代わりにビッグデータの活用サーベイの拡充企業との密接な接触金利や財政政策に関する基本想定の修正などを通じ、モデルの精度を上げる必要があるとの意見が出た。