[東京 30日 ロイター] – 総務省が30日に発表した6月の東京都区部消費者物価指数では、生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)が前年同月比3.8%上昇となり、1982年4月以来の伸び率となった前月の3.9%上昇を下回った。前年比の変化率が前月を下回るのは2022年1月以来。食料品の値上げが主導してコアコアCPIは伸び率を拡大してきたが、輸入物価の下落が波及し始めたことで今後は伸び率がさらに縮小するとみられている。
生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は3.2%上昇した。電力会社の規制料金引き上げで前月の3.1%上昇を上回ったが、ロイターがまとめた民間予測同3.3%上昇を下回った。
<生鮮食品を除く食料、3カ月連続で同じ伸び率>
コアコアCPIの伸び鈍化の主因は宿泊料や家庭用耐久財。宿泊料は4.8%上昇で前月の9.2%上昇を下回った。全国旅行支援の再開が下押し要因。
家庭用耐久財は3.7%上昇で前月の7.4%上昇から伸び率が鈍化した。今年はルームエアコンの新製品の発売時期が去年より早く、ルームエアコンの伸び率が急速に縮小。6月は3.5%下落で22年4月以来のマイナス転換となった。
一方、生鮮食品を除く食料は8.9%上昇。4月以降、3カ月連続で伸び率は変わっていない。
エネルギー価格は6.9%下落し、前月の8.2%下落から下落率が縮小した。電気代は10.9%下落と前月の16.1%下落から下落率が大きく縮小した。政府の激変緩和措置や燃料費の下落で都市ガス代は2.8%下落、ガソリンは0.7%下落した。
コア対象522品目のうち、上昇は413品目、下落は51品目、変わらずは57品目。上昇品目は前月の412をわずかに上回った。
6月の総合指数は前年同月比3.1%上昇し、前月の3.2%を下回った。
<コアコア、さらに伸び率縮小か>
これまで一本調子に拡大してきたコアコアCPIの前年比伸び率は転換点に差し掛かっているとの見方がエコノミストの間で出ている。コアコアCPIの前月比(季節調整値)は4月に0.6%上昇となった後、5月は0.2%上昇に鈍化。6月も0.2%上昇だった。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストは、昨年9月にピークを付けた輸入物価が9カ月程度のラグを伴って波及してきたと指摘する。企業の価格転嫁は続いているが「上昇のモメンタムが緩やかになってきた」とし、今後さらに前年比伸び率が鈍化するとみている。
UBS証券の栗原剛・次席エコノミストも「最近の円安が再び値上げにつながるリスクはあるものの、食品の減速を始めとしてコアコアは今年後半は落ち着いていく」とみている。
酒井氏は「家計は値上げ疲れしている」と話し、家計の節約志向の高まりに対応して割安なプライベートブランド商品が広まるかが注目点だと述べた。
(和田崇彦)