[ロンドン 11日 ロイター] – 国際エネルギー機関(IEA)は11日、エネルギー移行に必要な重要鉱物について、投資が急増していることを受け、全てのプロジェクトが予定通り進行すれば2030年までの気候目標達成に必要な水準に供給が近づく可能性があると指摘した。
電気自動車(EV)や風力タービンなどクリーンエネルギー技術に利用されるリチウムやコバルトといった重要鉱物を巡っては、需要急増で供給が不足するとの見方が専門家の間で浮上しているが、IEAによると、重要鉱物の生産への投資は2021年に20%増、22年は30%増の410億ドルとなり、供給の見通しが改善している。
IEAは、電池に利用される重要鉱物であるリチウムについて、30年の供給が42万トンに達すると予測。これは政府の気候目標達成に必要とされる44万3000トンに迫る水準という。ただ、温暖化ガスの排出量をネットゼロにするには70万2000トンが必要になる。
IEAによると、重要鉱物分野のスタートアップ企業が昨年調達した資金は前年比160%増えて過去最高の16億ドルとなった。
重要鉱物の需要は過去5年で急増し、リチウムの消費は3倍に、コバルトの消費も70%増加した。重要鉱物の市場規模は現在3200億ドルに達しているという。
IEAは、供給の見通しは改善しているが、プロジェクトの遅れや予算オーバーがリスク要因だと指摘。中国、インドネシア、コンゴなど多くの重要鉱物の生産を厳しく管理している主要生産国への依存を減らし、調達先を多様化する取り組みがさらに必要との見解も示した。