Emily Chang、Edward Ludlow、Rachel Metz、Dina Bass

  • オープンAIの首脳陣、取締役会の退任求めるも抵抗に直面
  • 取締役会がアルトマン氏の要求に応じる期限は米太平洋時間午後5時

対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米オープンAIの幹部や投資家らは、サム・アルトマン氏を最高経営責任者(CEO)に復職させることを目指し交渉しているが、取締役会の構成と役割を巡って協議が暗礁に乗り上げている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  アルトマン氏の復帰決定はすぐに下される可能性もあるが、協議は流動的でまだ進行中。関係者によると、19日正午にアルトマン氏とグレッグ・ブロックマン前社長はオープンAIの本社にいたという。

  関係者の1人によれば、取締役会に退任とアルトマン氏の復職を求めるオープンAIの首脳陣には、ミラ・ムラティ暫定CEOやジェイソン・クォン最高戦略責任者、ブラッド・ライトキャップ最高執行責任者(COO)らが含まれている。

  17日に解任されたアルトマン氏は復帰に前向きだが、既存の取締役の解任など、ガバナンス(企業統治)の変更を望んでいる。また、不正行為の事実はないとする声明も求めているという。 関係者は交渉が非公開だとして匿名を条件に話した。アルトマン氏解任決定後に強い圧力に直面した取締役会は当初、退任することで原則合意したものの、今のところ正式には拒否している。現取締役らは後任候補リストを検討している。

  経営陣と投資家、取締役会の間の交渉の中心にいるのは、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOで、異なる派閥間の協議を主導しているという。マイクロソフトはオープンAIにとって最大の投資家で、130億ドル(約1兆9500億円)を出資している。

  複数の関係者によれば、セールスフォースの元共同CEOのブレット・テイラー氏が新たに取締役会に加わる。もう一人は、マイクロソフトの幹部から起用される可能性もあるが、巨額の投資をしていても同社が取締役会の席を確保するかどうかは不明だと一部の関係者は述べた。  

  17日の解任決定に当たりオープンAIのチーフサイエンティスト、イリヤ・サツキーバー氏らが率いる取締役会は、アルトマン氏が「取締役会との意思疎通において一貫して率直ではなかった」と指摘した。ライトキャップCOOはスタッフ宛て文書で、解任決定は不正行為や会社の財務、安全性の慣行に関連して行われたものではないと説明した。

  取締役会がアルトマン氏と同氏の支持者の要求に応じる期限は、米太平洋時間午後5時(日本時間20日午前10時)に設定されている。交渉に詳しい関係者によれば、アルトマン氏をCEOに復帰させるためには、取締役会は不正行為の事実はなかったとする声明を出さざるを得なくなるかもしれないが、それに応じると、取締役会メンバーが法的な観点から弱い立場に置かれる恐れがあるという。

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原題:OpenAI Negotiations to Reinstate Altman Snag Over Board Role (1) (抜粋)