立憲民主党の野田佳彦元首相が世襲だらけの自民党の現状を痛烈に批判した。与野党を問わず国会議員の発言に納得することはほとんどないが、野田氏の発言には珍しく「その通り」と叫びたくなった。この発言に共感したのは私だけではないようだ。主要メディアは「ルパンだって3世までだ」と岸田総理を揶揄した表現を見出しにとって、こぞって野田氏の発言を記事にしている。SNSもこの話題で盛り上がったようだ。国民はよく見ている。岸田総理の支持率が低迷している原因も、長男翔太郎氏に絡んだ世襲問題が根っ子にあるのかもしれない。いまに始まったことではない。もう何年も前から同じことが繰り替えし報道され、有権者の批判を浴びてきた。問題は岸田総理の支持率低迷だけではない。自民党そのものが国民の期待にそぐわなくなっている。
野田氏はまず自民党の主要5派閥で、4,000万円を超える政治資金パーティーの収入不記載問題をとりあげ、自民党ならびに岸田総理に「危機感が足りない」と諫言した。その上で世襲問題を取り上げた。毎日新聞によると野田氏は自民に世襲議員が多く、要職起用が目立つ現状について「総理は3世、ジュニアに委ねると4世。ルパンだって3世までだ」と皮肉を込めて指摘。「歌舞伎役者じゃないんだから」と苦言を呈した。思わず「その通り、歌舞伎役者に失礼だろう」と叫びたくなった。FNNプライムオンラインによると、「9月に改造した岸田内閣の顔ぶれを見てみると、閣僚20人のうち、曽祖父母やおじ・おばまで含めた3親等に国会議員がいる閣僚は、実に半数の10人にのぼる」とある。世襲議員だらけだ。
翔太郎氏が総理秘書官の時、親族を集めて官邸でクリスマスパーティーを開催して問題になった。まさにこれが世襲のイメージだ。なに不自由なく育てられ、金に困ったこともないだろう。この人が総理の後を継げば「4世」となる。想像するにそんな世襲議員に昨今の物価高や乏しい年金の実態など、庶民の苦しい生活を理解しろといっても無理だろう。極端なことを言えば、国民から遊離した世襲議員が増えるたびに有権者の生活は苦しくなる。麻生自民党副総裁はその昔、遊説中に街宣車の上から「下々の皆さん」と呼びかけたという話を何かで読んだことがある。これが世襲議員の本音かもしれない。物価対策として取りまとめた総合経済対策も、下々に施すための対策にみえてくる。立憲民主党は今国会に「世襲禁止法案」を提出している。立憲もたまには良いことをする。
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