大谷翔平のドジャース入団記者会見をテレビで見た。最初から最後まで全部見たわけではないが、一番印象に残ったのは愛犬の名前を「デコピン」と明かした時だ。記者席で爆笑が起こった。会見場だけではないだろう。中継を見ていた日本人の多くが微笑んだと思う。デコピン。ゲームをして勝った人が、負けた相手の額を中指で軽く弾く罰ゲームだ。どうしてデコピンと名づけたのか?野球で失敗した時のことを忘れないために・・・、などと想像を逞しくしてみたが、そうではないようだ。YAHOOニュースには次のような説明がある。「こっちの人は発音的に難しいので、もとの名前がディコイというので、こちらの人に説明する時は、呼びやすいディコイと紹介しています」と説明。デコピンの由来については「ディコイという名前があったので、それに近い感じで決めました」。
大谷らしい説明だ。元々の名前の「ディコイ」に近い発音、思いついたのが「デコポン」ではなく「デコピン」だったというわけだ。正直で素直、命名の経緯をありのままに答えている。罰ゲームに引っ掛けてあれこれ勘繰ってみたものの、なんのことはない、まったくの的外れ。翔平を見ながらいつも感じるのは「simple is best」ということだ。世の中の現象をひねくり、こねくり、裏の裏の裏はなどと勘繰っている自分が恥ずかしくなる。彼は物事を単純化する天才なのかもしれない。ドジャース入団の決め手は「全員が勝つことに集中している」と説明。契約金でも環境でもない。勝ちに向かう意志だ。選手だけではない。球団ならびに球団関係者、ファンのすべてが勝つためのワンチームになっている。これが決め手だったと言う。 “勝つこと”、極めてシンプルだ。
会見の直後からネット上でデコピンがトレンド入りした。以下はYAHOO!ニュースが採用したスポニチの記事。「デコピンはすぐにネットで拡散。X(旧ツイッター)でトレンド入りし、超速でトップにまで上昇した。ネット上では、『ネーミングセンスすき』『めっちゃおもろいwww』『球団と関係ないんかい笑』『かわいい。好感度爆上がり』『これは誰も当てられなかっただろ』『テレビの前で吹いた』『今回の会見デコピンの印象が強すぎて』などの声が上がっている」とある。日本円にして1015億円という巨額の契約金額を、あっという間に風化させたデコピン。来年の流行語大賞は間違いなく「アレ」ではなくこれだ。翔平の凄いところは二刀流だけではない。言葉を選ぶセンスがいい。持って生まれた資質だろう。シンプルで率直に発言しているパフォーマンスがいい。
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