西村圭史 矢島大輔 成沢解語 土井良典 西崎啓太朗

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 8日に発生から1週間を迎える能登半島地震は、いまだに被害の全容が見えない。安否不明の人は約200人に上り、物資を届けるのが難しい孤立集落も多数残る。政府と自治体が手探りの対応を続ける中、浮かび上がった課題とは――。

「政治主導のパワーを感じない」

 能登半島では、新たな被害が刻々と明らかになっている。岸田文雄首相は7日午前放送のNHKの番組で、厳しい表情で語った。「大きな地震が断続的に続き、大きな道路のみならず、中山間地にある中小の道路も次々と寸断されていく。物資の搬入一つとっても、大変困難な状況が続いている」

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 地震発生直後の1日夕、首相は官邸幹部らに「これはひどい災害になるんじゃないか」と語っていた。だが、道路や通信インフラが破壊され、状況はなかなか分からなかった。日没直前というタイミングに加え、集落が点在する半島という地理的な特性が障壁になり、被害の深刻さの一端が見えてきたのは、同日午後10時を回ってからだ。

 「住宅の倒壊が多数あり、道路も寸断され重機も入らない。金沢市からの輸送も無理だ」「過去にない広範囲の被災だ。電気・水も止まっている。携帯電話もつながらない」

 石川県の輪島、珠洲両市長から電話で聞き取った首相は、初会合を開いたばかりだった特定災害対策本部を一転、非常災害対策本部に格上げするように指示し、自らが本部長に就いた。官邸幹部は「初めは被害の程度がわからず、役所も非常災害対策本部にする段階ではないと言っていた」と話す。

 一夜明け、多くの住宅やビル…

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