▽「ネタニヤフ氏が和平の障害」米上院トップが異例の退陣要求 強まる対イスラエル圧力<産経ニュース>2024/3/15 10:23
【ワシントン=大内清】米民主党上院トップのシューマー院内総務は14日、イスラム原理主義組織ハマスとイスラエルの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザの情勢を巡り、同国のネタニヤフ首相が「和平の大きな障害になっている」と述べ、ネタニヤフ氏が率いる右派連立政権の退陣を求めた。米議会の最有力者が同盟国イスラエルの指導者を批判するのは極めて異例。
ガザ攻撃や占領地ヨルダン川西岸への入植を続けるイスラエルにはバイデン政権もいらだちを深めており、今後、ネタニヤフ氏への圧力が強まるのは必至だ。
シューマー氏は同日の議会演説で、ネタニヤフ氏は「イスラエルの最善の利益より自身の政治的生き残りを優先し、方向性を失っている」とし、現政権が「同国の必要とするものにもはや適合していないのは明らか」だと語った。ネタニヤフ氏は収賄などの罪で起訴されており、ガザの戦闘が終息して公判が進めば政治生命の危機に直面する可能性が高いとみられている。
さらにシューマー氏は、ネタニヤフ氏が「ガザ市民の犠牲を進んで許容」しており、「イスラエルへの各国の支持を歴史的な低水準に押し下げた」と指摘。連立を組む「ユダヤの家」のベングビール国家治安相ら極右勢力が、ガザや西岸からのパレスチナ人排除を主張しているのを放置しているとも非難した。シューマー氏はユダヤ系で、長年、親イスラエルの立場をとってきた重鎮。
カービー大統領補佐官は14日、シューマー氏からホワイトハウスへ演説内容の事前通告があったと認め、政権として「(演説を)尊重している」と述べた。
ネタニヤフ氏を巡っては、米情報機関を統括する国家情報長官室(ODNI)が11日に公表した報告書で「指導者としての実行能力が危機的状況にある可能性がある」と分析した。
ネタニヤフ氏が党首を務めるイスラエルの右派与党「リクード」は14日、シューマー氏がネタニヤフ氏を批判したことについて、「シューマー氏の言葉と異なり、イスラエルの社会はハマスに対する完全な勝利を支持している」などとする声明を出して反論した。
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