• 野村ホールディングスはグローバル・マーケッツの人員を拡充済み
  • 大和証は昨年新部署、金利ある世界に備え全国の営業現場で浸透図る

東京短資の若松宏和執行役員マーケットオペレーション部長は、きょうから始まった日本銀行の金融政策決定会合でのマイナス金利政策解除の可能性について「当初は市場参加者も半信半疑であったが、もうこれはやる、というような空気になっているのは確かだ」と述べた。

  日銀が19日に結果を発表する同会合では、マイナス金利の解除をはじめとした金融政策の正常化を決めるのかとその具体策が最大の焦点となる。

  若松氏によると、過去1カ月、金融機関などの顧客からは将来の金利水準はどうなるかといった相談が急増。社内でも民間金融機関が日銀に資金を預けている3層構造の当座預金制度がどのように見直され、その結果、どういった影響をもたらすかなどについて議論を重ねてきた。

  証券会社でも金融正常化に備えた体制を整備してきた。野村ホールディングスでは数年前から中途・新卒を含めグローバル・マーケッツの担当人員を拡充している。また、海外時間のトレーディングでも万全の態勢を整えるとして、円金利のトレーダー1人を東京からロンドンに派遣済みだ。グローバル・マーケッツ企画部の担当者がブルームバーグの取材に答えた。

  大和証券グループ本社傘下の大和証券では、グローバル・マーケッツ本部と営業本部との密接な連携を図るため、2023年4月に「グローバル・マーケッツ戦略企画部」を発足。山本聡部長によると、「金利のある世界」では運用ニーズや調達ニーズがどのように変容していくのか、そこでどういう商機が生まれるのかについて、全国の営業現場への浸透を図ってきたという。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の伴英康シニアアナリストは、日本の金利市場のボラティリティーが高まり、顧客による取引が活発化すれば、証券会社は恩恵を受けるとの見方を示す。

  東京短資でも、マイナス金利という「異常な世界」で取引を控えていた地方銀行や一般事業法人を含む幅広い顧客層への聞き取りを強化。金利がプラスになれば、余剰資金を貸し出し、金利収入を得ようという動きが増える可能性が高い。

  東京短資の若松氏は「今まで動いていなかった、あるいは動く必要がなかった方々に金利がプラスとなったらどのようなスタンスを取られますかとヒアリングをかけている」と述べた。

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