▽【米国市況】株は終盤に急落、エヌビディアなどテク売り-151円台半ば<bloomberg日本語版>2024年3月27日 6:01 JST
- 取引は四半期末を控えてのポジショニングに大きく影響された
- ドル指数は持ち直す、円は一時151円60銭まで売られる
26日の米株式相場は続落。指数は取引終了まで残り30分ほどで、一気に下げに転じた。エヌビディアが7営業日ぶりに下落するなど、ハイテク大型株が売られた。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 5203.58 | -14.61 | -0.28% |
ダウ工業株30種平均 | 39282.33 | -31.31 | -0.08% |
ナスダック総合指数 | 16315.70 | -68.77 | -0.42% |
この日の取引は四半期末を控えてのポジショニングに大きく影響された。モルガン・スタンレーが先に示した推計によれば、最近の株高を受け、年金は従来の資産配分レベルに戻すために世界の株式を約220億ドル(約3兆3300億円)売り、債券を170億ドル買う必要がある。
この日は下げたが、S&P500種はこのままいけば、昨年11月から3月まで5カ月連続で月間上昇率がプラスになる。今世紀に入ってからは2013年に一度起きただけだ。
トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズの共同最高投資責任者(CIO)、キース・ラーナー氏は「通常の下落があることは予想している」とした上で、「市場の主要なトレンド、すなわち上昇トレンドに追随し、下げた場合は投資の好機と見なすよう提案する」と述べた。
ストック・トレーダーズ・アルマナックの編集者ジェフリー・ハーシュ氏によると、S&P500種が11月から3月まで月間ベースで毎月上昇したケースは1950年以降ではこれまでに計11回あった。そのいずれの場合でも年内の残る9カ月にS&P500種は上昇し、平均上昇率は12%に上るという。
この日発表された米経済指標では、消費者信頼感指数が前月からほぼ変わらず。期待指数は昨年10月以来の低水準となった。耐久財受注は3カ月ぶりに増加。住宅価格の上昇率は2022年以来の速いペースとなった。
エヌビディアは2.5%ほどの下げ。ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)も大幅に下落。同社が示した長期の売上高目標について達成困難との見方が広がった。トランプ前米大統領が立ち上げたソーシャルメディア運営企業、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは、特別買収目的会社(SPAC)との合併により上場。上場初日となったこの日の取引で急伸した。
アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリンビーン氏は「利下げが開始されるとの期待で、株式相場は1-3月(第1四半期)に上昇してきた」と指摘。「米金融当局がこの先、市場を驚かせる可能性は低い。われわれは既にそういった局面に入ったと思われる」と述べた。
ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのテクニカル戦略責任者、マーク・ニュートン氏は「テクニカル的に米株式相場は魅力的で、現時点で売りを正当化する十分なリスクがあるようには感じない。その見方に変わりはない」と指摘。
S&P500種は4月中旬にかけて5350-5400に上昇する可能性があり、その後に値固めとなると予想した。
米国債
米国債相場は上昇(利回り低下)。相場は日中、軟調に推移していたが、午後に行われた5年債入札で需要の堅調さが示され、上昇に転じた。
国債 | 直近値 | 前営業日比(BP) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.40% | -1.6 | -0.37% |
米10年債利回り | 4.23% | -1.4 | -0.33% |
米2年債利回り | 4.59% | -3.4 | -0.74% |
米東部時間 | 16時58分 |
外為
ニューヨーク外国為替市場で、ドル指数は朝方の下げから持ち直し、上昇に転じた。ドルは他の主要10通貨の大半に対しても上昇。企業による月末を控えたヘッジの動きが支えとなった。
円は対ドルで下落。朝方に151円台前半でもみ合った後、午後に入って円売り優勢となり、一時151円60銭まで下げた。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1244.29 | 0.63 | 0.05% |
ドル/円 | ¥151.55 | ¥0.13 | 0.09% |
ユーロ/ドル | $1.0832 | -$0.0005 | -0.05% |
米東部時間 | 16時58分 |
ポンドはドルに対して上昇していたが、下落に転じた。イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)のマン委員がブルームバーグテレビジョンで、今年の英利下げを金融市場が織り込み過ぎていると発言。英国が米国より先に利下げに踏み切る可能性は低いとも述べ、売りを誘った。
スイス・フランも下落。四半期末を控えたポートフォリオ調整などが影響した。
原油
ニューヨーク原油先物相場は小幅安。日中は上げ下げを繰り返す方向感に乏しい展開となった。中東とロシアで緊張状態が続く中、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は現行の産油抑制措置を維持する見通しだ。
OPECプラスの参加国代表らは、来週の会合で原油供給政策の変更を勧告する必要はないとみている。今年上期向けに既に設定された生産割り当てが効果をもたらしつつあるためだ。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、サウジアラビアに対し、米国の攻撃を支援しないよう改めて警告した。
OPECプラス代表、来週の会合で政策変更を提案する必要はない
この日レンジ相場となった背景には、テクニカル的な要素もある。50日移動平均線が200日移動平均線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」はまだ形成されていない。ゴールデンクロスは強気パターンとされる。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は、前日比33セント(0.4%)安の1バレル=81.62ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は50セント(0.6%)下げて86.25ドル。
金
金スポット相場は続伸。朝方に大きく上昇した後は伸び悩む展開となった。市場は、米政策金利の道筋に関する新しい手掛かりを待っている。
午前は軟調に推移していたドルが下げを埋め、ドル建ての金に下押し圧力がかかった。市場は、29日に発表される2月の米個人消費支出(PCE)統計待ちの状況にある。同統計では、米金融当局が基調的なインフレの指標として重視するPCEコア価格指数も発表される。市場ではインフレの根強さが示されると見込まれている。
金利スワップ市場では6月利下げの確率を63%と織り込んでおり、先週遅くの69%から低下した。米アトランタ連銀のボスティック総裁は25日、年内の利下げは1回にとどまるとの予想を改めて示した。
米アトランタ連銀総裁、利下げ年内1回にとどまるとの見方を再表明
ニューヨーク時間午後3時12分現在、金スポット価格は前日比5.38ドル(0.25%)高の1オンス=2177.21ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は1ドル(0.1%未満)上げて2199.20ドル。
原題:Stocks Give Up Gains as Nvidia Weighs on Big Tech: Markets Wrap(抜粋)
Stocks Give Up Gains as Nvidia Weighs on Big Tech: Markets Wrap
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