文藝春秋5月号が炸裂した。小池都知事の元側近である小島敏朗氏が同知事の学歴詐称に加担した実態を克明に公表したのだ。それに合わせてカイロで同居していた北原百代氏が、学生時代の小池氏の実態を生々しく報告している。これに対して小池氏は12日の定例記者会見で「卒業していないと言っておられるが、大学が卒業を認めている」と堂々と述べている。あくまで卒業したと、これまでの主張を繰り返した。どちらを信じるか、個人的には小池氏は明らかに嘘をついているとの印象を受ける。だが日本社会は小池氏を受け入れている。是非を追求すべきメディアは沈黙を守っている。自民党の裏金づくりの真相は依然として曖昧のままだ。岸田総理は裏金づくりの真相を知っているのではないか。「森喜朗氏が関与した証拠はない」も盛山文科大臣の「記憶にない」も、世耕元参院幹事長の「秘書から報告がなかった」も、どことなくウソっぽい印象を受ける。日本の政界では嘘つきが偉くなる・・・。
北原氏の一文は「カイロで共に暮らした友への手紙」とタイトルされている。一緒に暮らした2年間の生活が描写されている。カイロ・アメリカン大学に通っていた小池氏を紹介され、共同生活を始める。当時小池氏は19歳、北原氏は30歳。細々とした日常生活の中で小池氏はいくつかの“嘘”をつく。それでも北原氏は「冗談を言って人を喜ばせたり、驚かせたりすることが大好きだし、得意だった」と小池氏を評価する。日本に帰った小池氏は順調に出世する。ある日北原氏の小池氏に対する気持ちが疑念に変わる。原因は「たまたま日本にいてテレビをつけたら、環境大臣になった百合子さんが認証式のために皇居に向かう様子が流れていた。私は嘘をついたまま大臣になってしまうのかと衝撃を受けました」。認証式では天皇陛下から直々に証書を受け取る。文藝春秋が掲載した一連の記事が事実だとしたら、小池氏はこの時、天皇陛下も堂々と騙したことになる。
親のコネでカイロ大学に入学するが、2年進級時に落第する。小池氏が卒業の根拠としてきた大学の声明文には4年で卒業と書いてある。明らかな矛盾。学齢期詐称の有力な根拠だ。小池氏の嘘は解明されるのだろうか。日本の主力メディアはこれまでと同様、小池氏寄りのスタンスを貫いている。メディアは常に権力者に寄り添う。当局も事実の解明に動かないだろう。中東情勢の険悪化でエジプト政府は学歴詐称問題などに関わっていられないだろう。最後の拠り所は選挙だ。自民党の裏金づくりの真相解明が進まない中で、政治資金規正法違反で議員辞職した柿沢未途前議員の補欠選挙が東京15区で行われる。16日告示で28日が投開票。小池氏の側近ともいうべき都民ファースト副代表の乙武洋匡氏が身代わり出馬する。知名度の高い乙武氏だが、最大の拠り所である小池氏の学齢詐称問題再燃で補選の雰囲気は一変した。公示を前にして早くも沈没の様相を見せている。当然だろう。嘘つきも、嘘つきの側近も排除されるべきだろう。それ以上に政界にはびこる嘘をなんとかしなければ・・・
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