きのうのこの欄で「変わらない、変われない自民党」と書いたが、変わらない自民党に対する疑惑がまた浮上した。朝日新聞が17日の朝刊で「萩生田光一氏『写真は私』『記録ない』、岸信夫氏側は『確認できず』」と報じたことがきっかけ。時事通信は昨日の夜、「安倍氏・教団『面談』写真が火種 自民調査に疑義、早期解散影響も」との記事を配信している。おりから自民党は総裁選挙の真っ只中。9人の候補者は裏金疑惑に伴う政治不信解消に向けて自民党をどう変えるのか、多くを語らない。にもかかわらず、新総裁による早期解散説が当然のごとく語られている。そこに浮上した安倍元総裁を中心とした旧統一教会幹部との総裁室での面談。今後の政局に新たな展開を予想させる疑惑の登場だ。総裁候補者たちはこの疑惑にどう答えるのだろうか。

朝日新聞は17日付で「安倍総裁(当時)は2013年の参院選挙前に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の会長らと自民党本部の総裁応接室で面談していたとみられることが複数の関係者への取材でわかった。自民党の萩生田光一・元経済産業相や岸信夫・元防衛相らが同席。朝日新聞は面談時とされる写真を入手した」との特ダネを掲載した。2013年といえば安倍氏が第2次政権を発足させた直後であり、参院選は新総理にとって最初の資金石となった選挙である。面談の場所も自民党総裁室。旧統一教会の幹部に自民党の幹部が同席している。これが事実ならどうみてもこれは自民党と旧統一教会の、組織と組織の面談である。写真に写っている萩生田氏は「(写っているのは)私です」と認めている。当時は「党総裁特別補佐で、総裁応接室近くに部屋があった」という。

ただ、「事務所で当時の日程を確認したが、面会記録はなかった」とし、「記憶もなく選挙支援について話をしたかも『わからない』と話した」という。いつものパターンだ。肝心なことは記憶にも記録にもない。悪知恵の常套手段というべきか。いずれにしろ岸田総理が行った党内調査にもない内容が暴露された。裏金疑惑に伴う政治不信の一掃を狙った総裁選挙が進行中でもある。候補者は政治改革について明確な公約を語っていない。立憲民主党の泉代表は「深い闇が出てきた」と記者団に語った。枝野前代表はX(旧ツイッター)に、「総裁選候補に認識と見解を示してもらいたい」と記した。新鮮味のない論争が続く総裁選に大きな疑惑が投げ込まれた。連綿と続く自民党体質。候補者はこれにどう答えるのか。「変わらない、変われない自民党」のピンチが続く。総裁選も解散時期も政局も荒れそう雲行きになってきた。