▽米SEC、約500人が一斉退職へ-特別支給伴うプログラム受け入れ

Lydia Beyoud、Nicola M White

  • 職員は5万ドルの特別支給を受け取って退職することで合意
  • 一斉退職により危機発生時に適切な対応不可能になるとの懸念も
The seal of the US Securities and Exchange Commission headquarters in Washington, DC.
The seal of the US Securities and Exchange Commission headquarters in Washington, DC. Photographer: Daniel Heuer/Bloomberg

米証券取引委員会(SEC)では、職員約500人が5万ドル(約750万円)の特別支給を受け取って退職することで合意した。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  執行部門などではさらに大規模な退職が発生する可能性もあるという。非公開情報であることを理由に関係者は匿名で語った。5万ドルの特別支給を伴う退職プログラムへの応募期限は21日となっており、退職者の数はさらに増える可能性がある。

  SECの現在の職員数は約5000人。元職員の間では、今回の一斉退職により、金融危機が発生した場合に当局が適切に対応できなくなるのではないかとの懸念が一部で示されている。

  このプログラムは、1月24日より前に給与の支払い名簿に記載された職員が対象で、辞職や他の機関への異動、即時の早期退職を通じて自主的に離職しなければならない。自主退職合意を受け入れ、SECに5年以内に復帰する場合、特別支給は全額返金する必要がある。

  SECの広報担当者はコメントを控えた。

  さらなるコスト削減も検討されており、SECはロサンゼルスとフィラデルフィアのオフィスのリース契約を解除する予定。連邦政府の不動産を管理する一般調達局(GSA)は、SECのシカゴオフィスのリース契約解除も検討しているが、解除した場合は多額の違約金が発生する可能性があると、ブルームバーグは先に報じている。

  SECの人員削減は、連邦政府のコストを削減するというトランプ政権の方針と矛盾しているとして批判が上がっている。

  コロンビア大学ロースクールのジョン・コーツ、ジョン・コフィー・ジュニア、ジェームズ・コックス、メリット・フォックス、ジョエル・セリグマン各教授は、先週のブログ投稿で「トランプ政権は、全ての政府機関をほぼ同程度の割合で縮小すべきだと考えているかもしれない」としつつ、「だがこの考えは、SECに関する特殊な事実を無視している。それは、SECが常に運営費を上回る手数料収入を生み出してきたという点だ」と指摘した。

  ロイター通信はこの日先に、SECで数百人が一斉退職する見通しだと報じていた。

原題:SEC to Lose About 500 Staffers to Buyout, Resignation Offers(抜粋)