- カーグ島はイランのエネルギー輸出の大部分を担う要所
- イランが燃料輸送妨害ならカーグ島の石油施設を攻撃-トランプ氏

Golnar Motevalli、Patrick Sykes、Kateryna Kadabashy
トランプ米大統領は、ペルシャ湾の重要拠点であるイランのカーグ島の軍事目標を米軍が空爆したと明らかにした。その上で、イランがエネルギー輸送を妨害し続ける場合には石油インフラを標的に新たな攻撃を行う可能性があると警告した。2週間にわたる紛争は地域情勢を大きく揺るがしている。
トランプ氏はSNSへの投稿で、米国が「中東史上で最も強力な爆撃作戦の一つ」を実行し、カーグ島の軍事目標を破壊したと指摘。「礼節上の理由から、同島の石油インフラを壊滅させることはあえて選ばなかった」とした一方、イランがホルムズ海峡を通過する船舶を妨害した場合には、その判断を直ちに見直すと警告した。
投稿の前には記者団に対し、必要な限り作戦を継続すると述べる一方、「予定より先行している」と強調。米海軍が「まもなく」ホルムズ海峡を通過する船舶の護衛を開始する可能性も示唆した。
これに先立ち、ヘグセス米国防長官は記者会見で、「世界がこれまで目にしたことのないペースで、イランの重要な軍事能力の全てを打倒、破壊、無力化する計画を進めている」と語った。
さらに戦争開始から14日目となるこの日は、イランに対して最大規模の攻撃が行われ、米国とイスラエルはこれまで約1万5000カ所の目標を攻撃したと明らかにした。

カーグ島ではエネルギー施設ではなく軍事拠点のみが攻撃された。これはイランに対する警告射撃の意味合いがあり、米国が将来的に同国のエネルギーインフラの一部を標的にする可能性を示唆するものだ。トランプ氏はこれまでエネルギーインフラへの攻撃は避けてきた。
カーグ島はイラン本土沖、ペルシャ湾の奥深くに位置する。同島に接続する石油パイプラインはイランのエネルギー輸出の大部分を扱っており、同国経済にとって極めて重要だ。
イランの生命線
海洋戦略センターのスティーブン・ウィルズ氏は、カーグ島はイランの石油輸出の約90%を処理できるよう整備されており、同島が占拠または破壊されれば「理論上、イランの石油輸出能力の大部分を奪いかねない。これがイランの生命線だ」と述べた。
ただし、カーグ島への攻撃は賭けでもある。エネルギーアナリストは、島の民間インフラを攻撃したり占拠したりすれば、原油価格がさらに急騰する恐れがあると警告している。
アラブ首長国連邦(UAE)では14日朝、オマーン湾に面する主要石油積み出し港フジャイラがドローン攻撃を受け火災が発生し、操業が停止された。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ホルムズ海峡のすぐ外に位置するフジャイラ港では、被害の評価が行われている間の予防措置として、原油および石油製品の積み込み作業が停止された。関係者はメディアに話す権限がないとして匿名を条件に語った。
トランプ政権や各国政府がエネルギー価格の高騰を抑えようとする取り組みは、これまでのところ大きな効果を上げていない。アジアでは調理用ガスや自動車燃料の不足が深刻化している。米国ではガソリン価格がすでに約2年ぶりの高水準に達している。
北海ブレント原油は2営業日連続で1バレル=100ドルを上回り、3年超ぶりの高値で引けた。一方、米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物も2022年7月以来の高値圏で終了した。ホルムズ海峡は事実上封鎖され、数百万バレルの原油がペルシャ湾に滞留している。

海兵遠征部隊
米国はまた、日本から第31海兵遠征部隊を中東へ派遣している。到着まで少なくとも1週間かかる見通しだ。同部隊は最大2400人の兵力を持ち、強襲揚陸艦「トリポリ」には戦闘機F35、輸送機V22オスプレイ、ヘリコプターから成る航空部隊が搭載されている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は米当局者2人の話として、国防総省が海兵隊と軍艦を中東に追加派遣していると報じた。
当局や非政府組織の集計によると、これまでの死者は約2600人に上り、その大半はイラン国内となっている。
一方、米中央軍はイラク西部で墜落した米空軍の空中給油機「KC-135」に搭乗していた6人全員の死亡が確認されたと発表した。これで米軍関係者の犠牲者は計13人となった。
ホルムズ海峡の封鎖続く
海上輸送の要衝であるホルムズ海峡は依然として事実上の封鎖が続いており、ペルシャ湾では数百万バレルの原油が滞留している。
イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師は12日、就任後初の声明で、ホルムズ海峡の封鎖を継続すると主張していた。
モジタバ師について、ヘグセスは米国とイスラエルによる作戦でモジタバ師が「外見が損なわれた可能性が高い」と会見で指摘。声明が文書のみで公表されたことは、負傷により公の場に姿を現すことができない可能性を示唆していると述べた。
トランプ大統領はFOXニュース・ラジオのインタビューで、モジタバ師について「おそらく何らかの形で生きているだろう」と述べていた。
こうした中、フランスなど複数の欧州諸国が、同海峡を通る自国船舶の安全な航行を確保するため、イランとの協議を開始したと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
関係者によると、インドも20隻以上のタンカーが同海峡を安全に通航できるよう、イランと協議を行っている。
イランは対抗姿勢崩さず
イランによるアラブ諸国への攻撃はこの日も続いた。
フランスのマクロン大統領はXへの投稿で、イラクのエルビル地域で起きた攻撃により、仏軍関係者1人が死亡したと明らかにした。ロイター通信は、このドローン攻撃で少なくともフランス兵6人が負傷したと報じた。
トルコ国防省は、同国の領空に侵入したイランの弾道ミサイルを北大西洋条約機構(NATO)が迎撃したと発表した。3月4日以降、3度目のミサイル攻撃だという。トルコはイランに対し、自国領を標的にして紛争を拡大させないよう警告している。
イランでは同日、毎年恒例の親パレスチナ行事を記念して、各地で親政府派の集会が開かれた。首都テヘランでは、デモ行進から数ブロック離れた場所で爆発があったと伝えられ、タスニム通信によると、米国とイスラエルによる攻撃で女性1人が死亡した。
ソーシャルメディアに投稿された写真には、イラン最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長に加え、複数の政府閣僚がその行事に参加している様子が写っている。

原題:Trump Strikes Iran’s Kharg Oil Hub, Urges Hormuz Reopening (1)(抜粋)