- イランが交渉や停戦を求めた事実ない、アラグチ外相がCBSで発言
- 日中韓英仏は軍艦派遣を、ホルムズ封鎖解除でトランプ氏呼び掛け

トランプ米大統領は、イランが戦争終結に向けた合意に応じる用意があると述べた。一方で、米国はより良い条件を求めていると語った。紛争は当面収束しない可能性を示唆した形だ。
世界の原油輸出の約20%が通過する戦略的要衝ホルムズ海峡では、航行がほぼ停止状態にあり、エネルギー市場に混乱が広がっている。
イランのアラグチ外相は、同国が交渉や停戦を求めた事実はないと述べた。15日に放映された米CBSのインタビューで、「われわれが米国と交渉すべき理由など一切見当たらない。米国はわれわれと協議をしながら攻撃を決断したのだ。しかも2度にわたって」と述べた。
アラグチ氏はさらに、勝利の見込みのない「違法な戦争」を行っていることをトランプ氏が認めるまで、イランは自衛を続けると語った。
トランプ氏は14日のNBCニュースとの電話インタビューで、「イランは合意を望んでいるが、条件がまだ十分に良くないため私は応じたくない」と発言。また、「非常に強固な」合意には、イランが核開発の野心を放棄するとの確約が含まれる必要があると指摘した。
トランプ氏は交渉に関して詳細は示しておらず、米国とイランの間でメッセージを仲介している人物がいるとすれば、それが誰なのかも明らかでない。
トランプ氏はまた、ホルムズ海峡の安全確保のため各国に艦船派遣を呼び掛けた。日本や中国、韓国、英国、フランスの参加を期待していると表明した。
このほか、中東での紛争を受けた米国内のガソリン小売価格上昇に関し、11月の中間選挙に影響を及ぼす可能性を「懸念していない」と話した。
報復続く
イスラエルやペルシャ湾岸のアラブ諸国に対するイランの報復攻撃は、14日夜から15日にかけても続いた。米軍はイランの主要な原油輸出施設があるカーグ島の軍事拠点を攻撃していた。
アラブ首長国連邦(UAE)は15日、イランから発射されたミサイルやドローンを迎撃していると発表。ドバイの一部で聞かれた爆発音は迎撃された飛翔(ひしょう)体によるものだと住民に説明した。
UAEによると、紛争開始以降、イランが発射したドローン1600機とミサイル300発超に対応してきたという。
イランのアラグチ外相はMS NOWに対し、カーグ島を攻撃したミサイルはUAEから発射されたものであることは「明らかだ」と述べた。
UAEのムハンマド大統領の外交政策上級顧問アンワル・ガルガシュ氏は同国の対応について「押し付けられたこのテロ攻撃に対し自衛する権利があるが、理性を優先し続けている」と語った。
操業再開
UAEでは、オマーン湾に面する主要石油積み出し港フジャイラでの操業が15日に再開された。事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。14日にドローン攻撃を受け火災が発生し、輸出停止を余儀なくされていた。
ホルムズ海峡のすぐ外側に位置するフジャイラは、原油や石油製品の主要な物流拠点だ。同海峡を通過せずに輸出できる湾岸地域でも数少ない拠点の一つであるため、UAEと世界市場の双方にとって重要性が高まっている。被害状況を確認する間の予防措置として、積み込み作業は一時停止されていた。
アブダビ当局はまた、10日にドローン攻撃を受けた後、ルワイス工業地域で発生した火災を鎮圧したと発表した。
一方、サウジアラビアは首都リヤド付近と同国東部地域で少なくとも10機のドローンを迎撃したと報告。バーレーンは警報サイレンで住民に安全な場所にとどまるよう呼びかけた。
ガソリン上昇への懸念退け
紛争は中東での混乱を招き、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで原油相場は1バレル=約100ドルに上昇している。こうした状況を受け、トランプ氏に対する国内の政治的圧力も強まっている。トランプ氏は米国のガソリン価格上昇への懸念を退け、戦闘が終結すれば価格は下がるとの見方を示した。
各国政府や非政府組織の集計によると、2月28日に軍事衝突が始まって以来、地域全体で約3750人が死亡している。
米国を拠点とする人権団体ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー(HRANA)によると、過去2週間でイランでは3000人超が死亡した。湾岸諸国やイスラエルでも数十人、米兵は13人死亡した。
イスラエルと米国は14日、イラン攻撃を継続した。米国は「イランを支持するテロ集団による著しい脅威」が迫っているとして、イラク在住の米国人に即時退避を促した。前日には在バグダッド米大使館の敷地内のヘリパッドにミサイルが着弾したと、AP通信が報じた。
トランプ氏はSNS投稿で、カーグ島の軍事施設を「完全に破壊した」と表明し、「配慮から、同島の石油インフラを壊滅させることはあえて選ばなかった」とコメント。一方、イランがホルムズ海峡を通過する船舶を妨害した場合には、その判断を直ちに見直すと警告した。
トランプ氏は14日午前の投稿で「イランによるホルムズ海峡封鎖の試みで影響を受ける多くの国は、米国と連携して、開かれて、安全な海峡を維持するため、軍艦を派遣するだろう」とコメント。日本や中国、フランス、韓国、英国などが軍艦を派遣することを期待しているとしたが、詳細には触れていない。
イラン軍は「既に100%破壊された」ものの、イランがドローンや機雷、短距離ミサイルで船舶の航行を脅かすのは「容易だ」とも、トランプ氏は指摘。米軍はイラン沿岸を「徹底的に爆撃」することで応じると述べた。
イランのアラグチ外相はホルムズ海峡の実質封鎖の対象は「敵国」だけだと述べた。
カーグ島
海洋戦略センターのスティーブン・ウィルズ氏は、カーグ島はイランの石油輸出の約90%を処理できるよう整備されており、同島が占拠または破壊されれば「理論上、イランの石油輸出能力の大部分を奪いかねない。これがイランの生命線だ」と述べた。
ただし、カーグ島への攻撃は賭けでもある。エネルギーアナリストは、島の民間インフラを攻撃したり占拠したりすれば、原油価格がさらに急騰する恐れがあると警告している。
トランプ政権や各国政府がエネルギー価格の高騰を抑えようとする取り組みは、これまでのところ大きな効果を上げていない。アジアでは調理用ガスや自動車燃料の不足が深刻化している。米国ではガソリン価格が既に約2年ぶりの高水準に達している。
北海ブレント原油は2営業日連続で1バレル=100ドルを上回り、3年超ぶりの高値で引けた。一方、米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物も2022年7月以来の高値圏で終了した。ホルムズ海峡は事実上封鎖され、数百万バレルの原油がペルシャ湾に滞留している。

原題:Trump Suggests Iran Ready to End War as Tehran Sees No Talks (2)、Trump Rejects Iran Deal on Current Terms as War Continues (1)、Trump Strikes Iran’s Kharg Oil Hub, Urges Hormuz Reopening (1)、Trump Promises ‘Help’ for Nations Taking Care of Hormuz Passage(抜粋)