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アジアの親中政権、連敗続きなぜ 「一帯一路」の沿線国逢<朝日新聞デジタル>2018年9月24日22時52分

 アジアで中国寄りの政権が選挙で相次ぎ敗れている。スリランカ(2015年)やマレーシア(今年5月)に続き、モルディブでも親中派の大統領が敗北した。いずれも中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」の沿線国で、大規模開発が続くさなかの動きだ。

モルディブの場合、首都がある島から空港や住宅地がある島々に通じる橋を、中国が総工費2億ドル余りの大半を贈与と融資でまかない大統領選の直前に完成させた。船でしか移動できなかった市民にとって画期的だが、「実際の値段は3分の1。大金が誰かの懐に入った」と疑う市民が多い。

橋には1キロ以上にわたって中国国旗がはためく。空港の拡張や8千戸のアパートも中国が手掛ける。観光客のトップは8年連続で中国人で、人口40万人余りの国に年間30万人が訪れる。存在の大きさは脅威にもなり、「地元で中国人気は意外と高くない」(外交関係者)との見方がある。

一帯一路の沿線で歓迎ムードの潮目が変わったのは15年、スリランカの政権交代だ。親中派の前政権が中国の融資で大規模港を造ったものの利益を生めず、新政権は追加の開発計画の凍結を決めた。すると中国側は損害賠償を要求。返済免除と引き換えに、港の管理を99年間差し出すことになった。債務と汚職の問題は、マレーシアやモルディブで野党側が親中政権を批判する材料になった。

人権問題に口出ししない中国の支援を背に、親中派政権は反対派を弾圧し独裁化した点で共通する。ただ、選挙前に最大野党を解党し事実上の一党支配になったカンボジアを除き、民主的な体裁を気にしない極端な独裁には至っていない。モルディブでは今回を含め過去3回の大統領選の投票率が9割近く、民主制度への信頼が社会の底流にあることをうかがわせる。

複数の市民は「替え玉投票を持ちかけられた」と証言するが、別の現地の外交関係者は、「仮に政権が何かしようとしても、やりきれなかった」と指摘。中国にとって今回の政権交代は「独裁政権との不透明な関係による大きすぎる代償になる」と語った。(マレ=武石英史郎)

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