奇怪なニィースが流れている。ベネズエラ中央銀行が保管する金塊20トンを搬出するため、ロシア発のボーイング777が28日にカラカス空港に着陸したという記事だ。ブルーンムバーグ(BB)が本日の午後2時30分過ぎに流している。ニュースソースはベネズエラの国会議員であるホセ・グエラ議員。29日にツイッターで爆弾発言をした。BBによると同議員は「中央銀行の元エコノミストで、今も中銀との接触を維持する」とある。いかがわしい記事ではなさそうだ。BBはさらに「この件を直接知る関係者は29日にブルームバーグ・ニュースに対し、中銀では20トンの金が搬出に向けて区分されたと述べた。20トンの金は価値にして約8億4000万ドル(約920億円)、ベネズエラが保有する金の約20%に相当するという」。

この金塊を運搬するためだろうか、「ロシア発のボーイング777が28日にカラカス空港に着陸した」とホセ・グエラ議員は投稿している。事実だとすればもうロシア機の到着から3日がたっている。現在どうなっているのか、続報は見当たらない。ベネズエラのマドゥロ大統領は反米独裁主義者だったチャベス前大統領の後継者。時事ドットコムによると「昨年5月、野党を実質排除した大統領選を強行して勝利。1月10日に『2期目就任』を宣言して独裁体制の確立をもくろんだが、野党が多数を占める国会や欧米諸国、日本などは認めていなかった」。米国はすでに国交を断絶、多数を占める国会ではフアン・グアイド議長が23日、首都カラカスで行われた反政府集会で、暫定大統領就任を宣言した。

西側が一貫して拒否しているマドゥロ大統領に支援の手を差し伸べようとしているのがロシアのプーチン大統領だ。おそらく敵の敵は味方ということだろう。敵対する米国と対立しているベネズエラ、敵の敵は味方である。救援の手を差し伸べよう。そうだとすれば時代錯誤だし、冷戦時代の発想だ。そのロシアから金塊を運ぶための飛行機が飛び立ったという。プーチン大統領の発言と結びつければいかにもありそうな話だ。だが、ホセ・グエラ議員のツイートもこの飛行機がロシアの飛行機だと断定しているわけではない。だいたいロシアはボーイング機を保有しているのだろうか。「ロシア発のボーイング」という書き方が微妙だ。事実はわからない。ここにニュースの限界がある。真偽のほどは続報を待つしかない。