• 安倍首相、桜の咲く頃に習主席をお迎えしたい-習氏も前向き
  • 米中控え「日本と関係悪くしたい状況でない」-みずほ総研・三浦氏

安倍晋三首相は27日午後、20カ国・地域(G20)首脳会議出席のため大阪市を訪れている中国の習近平国家主席と会談し、来年春に国賓として訪日するよう要請した。同席した西村康稔官房副長官によると、習主席も良いアイディアだと前向きな姿勢を示し、今後具体的な日程を調整する。

Bilateral Meetings Ahead of the G-20 Summit
会談に臨む安倍首相と習主席Photographer: Kimimasa Mayama/Pool via Bloomberg

  中国国家主席の来日は2010年に横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席した胡錦涛氏以来、約9年ぶり。習氏の就任後では初めてとなる。日中間では昨年5月に李克強首相が来日したのに続き、10月には安倍首相が訪中し、首脳往来が再開。12年に日本が尖閣諸島を国有化して以降、冷え込んでいた関係が「正常な軌道に戻った」と両政府が表明した。

  安倍首相は会談冒頭、「昨年10月の私の公式訪問以来、日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と言明。その上で、「来年の桜の咲く頃に習近平主席を国賓としてお迎えし、日中関係を次の高みに引き上げていきたい」とさらなる関係改善に意欲を示した。

  首脳間の往来が進む一方、尖閣諸島周辺の日本領海では中国公船の侵入が相次いでいる。米国が安全保障上の脅威と主張する華為技術(ファーウェイ)製品の取り扱いに関しては、中国側が日本政府をけん制、米中貿易摩擦も影を落とす。

  みずほ総合研究所の三浦祐介主任研究員は、トランプ米大統領との会談を控えた中国側は「決して日本と仲を悪くしたい状況ではない」と指摘。今回の日中首脳会談では協力関係を確認する方向に進むとの見方を示した。また、国際会議に合わせての来日であり、さらなる関係改善に向けては、来年に予定される習氏の国賓来日が「一番の要になる」との見方を示した。

北朝鮮、自由貿易

  習氏はG20に先立ち20、21日両日に北朝鮮を訪問。金正恩朝鮮労働党委員長と会談し、米朝間の非核化交渉の進展を世界が望んでいるとのメッセージを伝え、中国も主要な役割を果たすことを表明した。

  西村官房副長官の説明によると、日中首脳会談では、習氏の今回の訪朝を含めた北朝鮮問題についても協議。習氏は安倍首相の考え方を北朝鮮に伝えたという。通商分野では、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉を通じて自由で公正な貿易体制の発展に貢献していくことを確認した。

このほか、首脳会談の主な内容は以下の通り。

・安倍首相から東シナ海、特に尖閣諸島周辺海域における中国の活動の自制を要請
・自由で公正な貿易体制を発展させていくことで一致
・安倍首相から、知的財産保護の強化、市場歪曲的な産業補助金等の是正など中国市場の開放や公平公正なビジネス環境構築のための実効的措置を要請
・安倍首相からはWTO改革の進展に向け働き掛け