3日の米株式相場は大幅反落。米金融当局が緊急利下げに踏み切ったものの、新型コロナウイルスの経済的な影響に対応するには不十分との見方から売りが膨らんだ。一方、米国債相場は大幅高となった。
- 米国株は大幅反落、利下げは不十分との見方
- 米国債は上昇、10年債利回り1%割れ
- NY原油は続伸、減産勧告で買い
- NY金は大幅続伸、緊急利下げを受け
S&P500種株価指数は過去9営業日で8日目の下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は記者会見で、米経済は引き続き強いとしながらも、ウイルス感染拡大は経済活動を「当面」圧迫するとの見通しを示した。
米2年債利回りは0.70%に低下、10年債利回りは初めて1%を割り込んだ。株式市場では銀行株の下げが目立った。
ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「50bpの利下げで状況が変わるかどうか、答えは難しい」と語る。「現在のように需給ショックがある状況では、米金融当局の利下げは効果が弱い傾向がある」と述べた。
S&P500種指数は前日比2.8%安の3003.37。ダウ工業株30種平均は785.91ドル(2.9%)下げて25917.41ドル。ナスダック総合指数は3%安。ニューヨーク時間午後4時45分現在、米10年債利回りは16.8bp低下の0.997%。
MUFGユニオンバンクのチーフ金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「臨時会合で通常より大幅な利下げに踏み切ったことで、米金融当局者はパニックに陥っているように見える。先週の株式市場のようだ」と指摘。「あれほど積極的になる必要はなかった。パウエル議長は経済全体よりも金融市場の方に反応し続けており、それは間違っているというのがわれわれの見解だ。まだリセッション(景気後退)に陥っていないが、この日の行動でそれが回避できるわけでもない」と語った。
ニューヨーク原油先物相場は続伸。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とその他主要産油国で構成する「OPECプラス」の共同技術委員会(JTC)は、新型ウイルス感染拡大による需要減に対応するため、今月の会合で一段と大幅な減産を検討するよう石油担当相らに勧告した。これを材料に買いが入った。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物4月限は43セント(0.9%)高の1バレル=47.18ドル。ロンドンICEの北海ブレント5月限は4セント(0.1%未満)高い51.86ドル。
ニューヨーク金先物相場は大幅続伸。2営業日としてはほぼ4年ぶりの大幅高。米金融当局が緊急利下げに踏み切ったことから、金利を付与しない金の相対的な価値が上がった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は49.60ドル(3.1%)高の1オンス=1644.40ドル。
原題:U.S. Stocks Tumble After Powell Virus Warning: Markets Wrap(抜粋)