米国はどうなるのだろうか、コロナウイルスの新変異種が猛威を奮っているなかで、なんとも気になるのが米国情勢だ。11月3日の大統領選挙が終わってすでに3カ月近くが経過した。にもかかわらずいまだにトランプ大統領は敗北を認めていない。この間、不正選挙の証拠がいくつも見つかり、投票をカウントする集計機ドミニオンにまつわる疑惑も取り沙汰されている。加えて追加のコロナ対策、もめにもめた予算案が上下両院を通過した直後に、今度はトランプ大統領がこれを拒否した。この予算案は来年度の政府予算や国防関連予算と抱き合わせになっており、予算案を修正しない限り政府自体がきょう(28日)から一部機関の閉鎖に追い込まれる。異常事態だ。にもかかわらず日本の主要メディアは一切報道しない。何もかもが異常だ。

米国でおかしなことがいっぱい起こっている。約9000億ドルのコロナ対策を盛り込んだ予算案には、コロナとはまったく関係ないミャンマーやカンボジア、エジプトなどに対する経済的な支援策が盛り込まれている。肝心の米国民に対する追加の給付金は一人当たり600ドル。これにトランプ大統領は「馬鹿げている」と批判。2000ドルにひきあげるよう要求した。これに民主党が乗ったのはわかるが、マコネル院内総務率いる共和党が反対している。大統領のお膝元に分裂気配が漂う。マコネル氏はつい先日大統領の意に反して、公式に過半数の投票人を確保したバイデン次期大統領に祝意を伝えている。両氏の対立が先鋭化している。これも拒否権と無関係ではない気がする。さらに不思議なのはこの予算が来年度の政府予算や国防予算と抱き合わせになっていることだ。大統領が拒否権を発動すれば、政府機関の閉鎖につながる。いくら大統領でもそんなことはできないだろう。予算を担当する官僚たちの思惑が見え隠れする。

重要法案を抱き合わせにするやり方は日本でもよく目にする。その法案をなんと大統領が拒否したのだ。国防力の強化に理解を示している大統領が国防予算を否定する拒否権を発動したのである。これだけでも異常だ。さらにさらに、民主党左派の例のアンドレア・オカシオ・コルテス(AOC)議員が2000ドルで同調、コロナに関係のない予算を批判している。かつて大統領はAOCを共産主義者と罵倒、そのAOCが部分的ではあるが大統領の主張に賛意を示しているのである。SNS上では米国を牛耳る闇の国家(DS=ディープ・ステイト)対トランプ大統領との戦いという説がまことしやかに流れている。中国陰謀説も登場する。中国国内で習近平批判が強まっているとの説もある。何やら世界は水面下で風雲急を告げそうな雰囲気である。これはトランプ大統領の熱烈な支持者だけの動きなのだろうか。何も伝えない主要メディアの“沈黙”が逆に不気味な気さえする。