【ワシントン時事】バイデン米大統領は3日、包括的な国家戦略「国家安全保障戦略」策定に向けた暫定指針を発表した。中国について、経済・外交・軍事・技術力を結集し、国際システムに持続的に挑戦する能力がある「唯一の競争相手」と位置付けた。同盟国との連携や、米国の国際的な指導力の回復で対抗すると訴えた。

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 バイデン政権は新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ高官の外遊を抑制する中、ブリンケン国務長官、オースティン国防長官の早期訪日を調整。「国家安保戦略」の策定作業開始に合わせ、アジア重視の姿勢を誇示する狙いがある。米韓外交筋によると、両長官は韓国訪問も検討中。見直し中の北朝鮮政策を日韓と擦り合わせたい考えとみられる。

 指針は米軍配備に関し、重点をインド太平洋と欧州に置くと表明。同盟強化では、北大西洋条約機構(NATO)と並び日韓、オーストラリア3カ国の国名を挙げた。中東での米軍展開については、対テロやイラン抑止のために適切な規模にする方針を示した。

 また、中国との競争を念頭に、米国が新たな技術や宇宙、サイバー空間などに関する規範や合意の形成を主導すると主張した。権威主義体制に対抗する構えを鮮明にし、同盟国やパートナー国による「民主主義サミット」の主催を約束。さらに「国際機関における指導的立場を速やかに取り戻す」と強調した。

 サキ大統領報道官によると、「国家安保戦略」は年内に発表される見込み。
 指針発表に先立ち、ブリンケン氏は国務省で初めての外交演説を行い、中国を「21世紀で最大の地政学的試練」と見なし、安保面で脅威になると指摘。対中政策を新型コロナ対策や気候変動対策など八つの優先課題の一つに据え、最重要視していく考えを示した。