【ニューデリー時事】新型コロナウイルスの感染状況が深刻なインドで、コロナ感染から回復した人が、珍しい真菌症「ムーコル症」を発症するケースが相次いでいる。目や鼻、脳に影響が出る恐れがあるほか、死に至る例もある。専門家は、コロナの治療過程でのステロイド薬の誤使用が原因だと指摘している。
ムーコル症は、「ムーコル」と呼ばれる真菌によって引き起こされる感染症で、免疫が低下した人に起こりやすい。
インドでは、コロナの回復途上や、既に回復した人がムーコル症に罹患(りかん)したケースが多数報告されており、インド政府によれば、19日までに全土で少なくとも7251人の発症が確認された。21日付の地元紙ヒンドゥスタン・タイムズ(電子版)によれば、死亡例も219人に上る。
英BBC放送は9日、インド西部ムンバイの病院で、ムーコル症を発症したコロナ回復者の女性(25)が目の摘出手術を受けた様子を報道。医師は「彼女の命を救うためだ」と強調した。
インド政府は21日の声明で、ムーコル症を「(コロナ感染後の)二次的な感染症」だと指摘した。各地方政府に対し、病院の衛生状態などを見直すよう求めた。
全インド医科大のランディープ・グレリア理事長は15日、記者会見で、ムーコル症を起こす真菌は空気中や土壌に一般的に存在し、感染症を起こすことはまれだったと説明。「コロナ感染拡大後に多くの症例が報告されるようになった。主な原因はステロイド薬の誤使用だ」と警鐘を鳴らした。炎症を抑えるステロイド薬の過剰投与で患者の免疫力低下などを招いた可能性があるとみられる。
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