ロシア軍はウクライナ東部で攻勢を強めている。英国のジョンソン首相は領土割譲を伴うとみられる和平合意を求める声を退け、長距離ミサイルを含む軍事支援の追加を呼び掛けた。
英首相、ウクライナに追加軍事支援促す-プーチン氏は「ワニ」 (1)
ロシアがウクライナに侵攻してから100日がたとうとする中で、タンカーで海上輸送されるロシア産石油の量は記録的な水準に達し、他国が敬遠する中で大半はインドまたは中国に向かっている。中国の石油取引大手ユニペック(中国国際石油化工連合)は5月に、ロシア極東から原油を輸送するタンカーの契約隻数を前月の5倍に増やした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11月の20カ国・地域(G20)首脳会議までに戦争が終結し、同会議に出席できることを望んでいると示唆した。クレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)はロシア債を巡る決定を31日まで先送りした。
ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。
ロシア、信頼ある借り手との評価を維持したい-シルアノフ財務相
ロシアは信頼できる借り手であるとの評価を維持したいと考えており、ドル建ての支払いができなくなった後もルーブルで債務の支払いを履行し続けると、シルアノフ財務相が語った。
同相はモスクワ金融大学の学生に対し、「外国の投資家に『あなたの国の政府がわれわれの支払いを望んでいない。従って、われわれは支払わない』と言えば、時間がたった後も記憶は残る」と発言。「だからロシアとしては、このような状況にあっても、信頼ある借り手としての立場を再確認するためあらゆる手を尽くす」と言明した。
ロシア、ドンバス地方の鉄道交通の要衝を制圧
ロシア軍はウクライナ東部ドンバス地方で戦略的に重要なリマンの大半を制圧したと、両国の当局が明らかにした。リマンは鉄道交通の要衝でロシアが支配を狙っていた都市の一部だったほか、リマンから東方に位置するウクライナ軍を包囲できる可能性もある。
一方、ウクライナ南部のヘルソン州を占領するロシア軍は、民間人がウクライナ政府の支配地域に逃れる交通路を遮断したと、ウクライナの当局者がキーウ(キエフ)で記者団に語った。ロシア軍はウクライナ軍の反撃に備える防御壁の構築を進めているという。同州の生産者は穀物や果実、野菜を輸出しようとするとロシアが支配するクリミアに送られるため、輸出できないでいるともこの当局者は述べた。
ウクライナ大統領、30日のEUサミットに参加へ
30日にブリュッセルで開かれる欧州連合(EU)首脳会議に、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオリンク経由で参加する。EUは新たな対ロシア制裁パッケージでの合意に難航しており、一部の加盟国首脳は主要パイプラインを通じて輸入するロシア産石油を一時的に対象外とし、禁輸を海上輸送の石油に限る案での合意に傾いている。
ゼレンスキー大統領、G20首脳会議までの戦争終結に期待
ウクライナのゼレンスキー大統領は、11月15-16日にインドネシアのバリ島で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の前にロシアの侵攻が解決し、同会議に直接出席できることを望んでいる。
同大統領はシンクタンク、インドネシア外交政策コミュニティー(FPCI)との共同記者会見で、可能であればインドネシアを訪問し、そうでなければオンラインで会議に出席すると表明。「首脳会議では友好国やパートナー国ばかりで、占領国や侵略国はいないだろうと確信している」と語った。
英首相、ウクライナに追加軍事支援促す
ジョンソン英首相は、ロシアとの戦闘を続けるウクライナに対し、多連装ロケットシステム(MLRS)などより攻撃力の高い武器供給も含め、軍事面での追加支援を強く呼び掛けた。
ブルームバーグの取材に応じたジョンソン首相は、ロシアのプーチン大統領と交渉する見通しについて問われ、「脚をかみちぎっている最中のワニには対応できない」と返答。「この男は全く信用できない」と続けた。
英首相、ウクライナに追加軍事支援促す-プーチン氏は「ワニ」 (1)
中国、ロシア産原油輸送でタンカーを追加契約
中国の石油取引大手ユニペックは、ロシア極東から原油を輸送するための契約タンカー数を大幅に増やした。米国や欧州がロシア産石油を敬遠する中で、中国が積極的な買い手として浮上している。
トレーダーや海運ブローカーによると、ロシアのESPO原油をウラジオストク近郊のコズミノ港から運ぶため、ユニペックは今月に入り少なくとも10隻のタンカーを契約した。4月に比べて5倍の増加だという。コズミノから中国まで通常は直接輸送され、5日間の航路。
ロシア産石油、中国とインドの購入は過去最高
タンカーで運ばれているロシア産石油は記録的な水準だ。ウクライナ侵攻を理由に輸入を禁止する国もある一方、インドや中国に向かうロシア産石油の量は過去最高に上る。
ロシア産石油、中国とインドの購入は過去最高-欧州抜き最大の買い手
米、長距離ロケットシステムなどのウクライナ供与を検討-報道
米国は来週にも新たな包括的ウクライナ支援案を発表する可能性があり、これには長距離ロケットシステムなど高性能兵器が含まれる見通しだ。CNNが匿名の複数の政府当局者を引用して報じた。国家安全保障会議(NSC)内にウクライナが同システムをロシア国内への攻撃に使うのではないかとの懸念があり、政権は供与すべきかどうか揺れていたという。
西側主要国、オリガルヒが再建資金拠出なら制裁解除する案検討-報道
西側主要国はロシアのオリガルヒ(新興財閥)がウクライナ再建に資金を拠出する場合は制裁対象から外す案を検討している。AP通信が事情に詳しい政府当局者を引用して報じた。
ホワイトハウス、制裁と食糧輸出関連付けるプーチン氏の案を拒否
ホワイトハウスのジャンピエール報道官は記者団に対し、米国はウクライナ紛争で阻まれている食糧輸出の促進の条件として制裁解除を求めたロシアの提案を拒否すると語った。
プーチン大統領、制裁緩和なら穀物・肥料輸出促進する用意ある
食糧不足や価格上昇に関する懸念が世界的に高まる中、ロシアのプーチン大統領は同国に対する制裁緩和を条件に、穀物・肥料輸出を促進する用意があると述べた。ロシア大統領府が声明でプーチン大統領とイタリアのドラギ首相の電話会談の内容を発表した。
プーチン大統領はロシアとウクライナのどちらの輸出を指しているかは明らかにしなかった。
原題:Ukraine Latest: Pentagon Sees Russia Learning From Early Errors(抜粋)