御年82歳、カマラ・ハリス副大統領についで大統領継承順位第2位、バイデン政権でNo3の実力者。トランプ前大統領の天敵。ハリス副大統領の資質が何かにつけて問題となる現在の党内情勢をみれば、ペロシ議長は実質的にNo2の後継者と見ていいのかもしれない。そのペロシ氏が台湾を訪問した。直前に発表された東南アジア歴訪の具体的日程に台湾は入っていなかった。中国の強烈な反撃に配慮したのだろう。行くか行かないか、メディアの執拗な追求をかわして「行ってみればわかる」と切り返す対応は、80歳を超えたご老人とはとても思えない。バイデン大統領よりもはるかにエネルギッシュだ。認知症の心配もなさそうだ。ひょっとすると民主党の次期大横領候補はこの人かもしれない。無理を押し通す力がありそうに見える。世界中を騒がせたペロシ議長の台湾訪問が終わった。
この騒動はなんだったのか?嵐がさってもよく分からない。ペロシ氏の台湾訪問は随分前からメディアに取り上げられていた。台湾訪問が不透明なまま旅立った東南アジア歴訪。1日に予定通りシンガポールを訪問したあと、2日になって台湾訪問がメディアで盛んに報道されはじめた。この間、中国外務省の、例の苦虫を噛み潰したような趙立堅報道官は、ペロシ氏が台湾を訪問すれば中国軍は「座視しない」と警告した。中国政府でも中国共産党でもない。中国軍である。中国国防省は2日夜、ペロシ米下院議長の台湾訪問を踏まえ、中国軍は厳戒態勢を敷き、「的を絞った軍事演習」を開始すると発表した。台湾を取り囲むように6カ所に及ぶ演習海域を公表した。まるで台湾に軍事侵攻する際の予行演習のような雰囲気だ。大統領ならまだしも相手はNo3の下院議会議長にすぎない。あまりにも大袈裟すぎないか、まるでアニメのワンシーンのようだ。過激な演出による視覚効果狙い。
メディアはちょっとした判断ミスが大惨事につながると米中の激突を真剣に危惧している。米海軍は2日、台湾東方のフィリピン海に空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「アンティータム」、駆逐艦「ヒギンズ」、強襲揚陸艦「トリポリ」を配備すると公表した。演習海域をこれみよがしに公表する習近平政権の対応といい、米海軍の周到な危機対応作戦といい、すべてが鳴り物入りの大騒動だ。本当に情勢は切迫しているのだろうか。両国のメンツにかけた“カラ威張り”合戦ではないのか。個人的には出来レースの気がして仕方がない。中国外務省の華春瑩報道局長は2日、「米国と連絡を取り合っている」と述べている。米国務省高官は3日、ブリンケン国務長官と中国の王毅外相が7月にバリ島で会談した際、「ペロシ下院議長が台湾を訪問する可能性について協議していた」と述べている。ペロシ氏が台湾を離れ、ことが終わった後にシナリオの一部が露見し始めた。そんな気がする。
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