[東京 15日 ロイター] – 自民党税制調査会は15日午後、党内の幅広い議員が参加できる小委員会を開催し、防衛力強化に伴う増税案を了承した。宮沢洋一会長が記者団に明らかにした。2027年度に1兆円の不足が見込まれる財源を確保するため、法人、所得、たばこの3税に増税するが、実施時期は24年以降の適切な時期とされ、実質的な判断を先延ばしした。

宮沢会長は増税の詳細は、来年の税制調査会で議論すると説明した。

<法人税、控除対象拡大>

公明党との最終調整を経て、16日の与党税制改正大綱に反映させる。

法人税は4─4.5%の付加税率を課す。所得税は当面、税率1%の新たな付加税を課す。代わりに、東日本大震災の復興財源確保のため37年まで課税期間が定められている復興特別所得税の税率を現在の2.1%から1%引き下げ、課税期間を延長する。

中小企業に配慮するため当初案では所得が1000万円以下の企業に追加負担が生じない仕組みとしていたが、今回2400万円以下に対象を拡大した。

延長期間は「施行時期によるが、13年ないしそれより短い」との見通しを示し、「福島(など被災地)の復興計画には何ら影響ない」と強調した。

たばこ税は1本当たり3円相当の引き上げを段階的に実施する。国産葉たばこ農家への影響を配慮する。

自民党内では増税への反対論が根強く、実施時期を事実上先延ばしすることで了承を得た格好だが、宮沢氏は「もともと、このスケジュールで来年の通常国会に法案を提出する精度の高い(税制)大綱を書くのは難しいと思っていた」と説明した。