[シカゴ 16日 ロイター] – 「ゼロコロナ」政策を大幅緩和した中国では来年を通じて新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増加し、死者は100万人を超える恐れがある――。米ワシントン大学医学部保健指標評価研究所(IHME)は16日公表した最新のモデル予測結果に基づいてこうした見通しを示した。
それによると、感染者数増加のピークは来年4月1日ごろで、死者は32万2000人に達すると予想されている。IHMEのマレー所長は、この時点までに中国全人口のおよそ3分の1が感染を余儀なくされるだろうと述べた。
中国保健当局は、ゼロコロナ政策緩和以降に死者が発生したと公式には発表していない。これまでに当局が明らかにした死者数の合計は5235人。現在は、多くの人が移動する来年1月の春節(旧正月)休み期間中に感染が急増する事態が懸念されている。
マレー氏はゼロコロナ政策について、ある段階の変異株までは感染者を抑え込めていたかもしれないが、感染力の強いオミクロン株の登場で政策維持が不可能になったと指摘した。
IHMEのモデル予測は、香港における死亡率や中国政府が提供しているワクチン接種率、感染増加に伴う各地方の対応に関する想定なども盛り込んで算出された。
別の専門家は、最終的に中国全人口の60%前後が感染し、来年1月に感染のピークを迎えると予想し、高齢者など重症化リスクの高い人々が最も打撃を受けるとみている。
14日に公表された香港大学の研究者らの予測に基づくと、ゼロコロナ政策緩和に伴って今年12月から来年1月までに100万人当たりの死者が684人に上る可能性がある。大規模な追加接種を実施しないと仮定すれば、これは全人口に当てはめると96万4400人の死者が発生する計算になるという。