[北京 17日 ロイター] – 中国国家統計局が17日発表した2022年末時点の人口は14億1175万人と、前年末から約85万人減少した。減少は1961年以来。

長期的な人口減少が始まる見通しで、経済にも大きな影響を及ぼすとみられる。また、インドが23年に世界で最も人口の多い国になるという見方を強める格好となった。

中国の22年の出生率(人口1000人当たりの出生数)は6.77と前年の7.52から低下し、過去最低を記録した。

死亡率は1000人当たり7.37と前年の7.18から上昇し、1974年以来の高さとなった。

国連の専門家は中国の人口が50年までに1億0900万人減少すると予想。19年時点で予想した減少数の3倍以上となる。

著名な人口学者である易富賢氏は「中国の人口動態と経済の見通しは想定よりもかなり暗い。中国は社会、経済、防衛、外交政策を調整する必要が生じるだろう」と指摘した。

中国の労働力縮小や製造業の重要性低下は米欧の高インフレをさらに悪化させる要因になるとした。

国家統計局は「全体の労働供給は依然、需要を上回っている」ため国民は人口減少について懸念すべきではないと説明した。

人口動態の悪化は1980年から2015年に実施された「一人っ子政策」や教育費の高騰に起因する部分が大きい。専門家は、3年間続いた「ゼロコロナ政策」も人口の見通しをさらに悪化させたと指摘する。

地方政府は21年以降、税控除や産休の延長、住宅補助など出産奨励策を実施しているが、これらの措置で長期的な出生率低下傾向に歯止めをかけることはできないとみられている。

中国の検索サイト百度(バイドゥ)で「ベビーカー」の検索数は22年に前年比17%減、18年比では41%減となり、「哺乳瓶」は18年の約3分の2に減っている。一方、インドのグーグルトレンドによると、22年の哺乳瓶の検索数は15%増え、ベビーベッドは約5倍となった。