[東京 30日 ロイター] – 日銀の黒田東彦総裁は30日の衆議院予算委員会で、昨年12月に決めたイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用見直しについて、市場機能の改善を図り、金融緩和の持続性を高めるために実施したものだと説明。「金融緩和を正常化していく観点から行ったものではない」と強調した。

階猛委員(立憲民主党・無所属)の質問に答えた。

12月の金融政策決定会合で日銀は長期金利の変動幅拡大を決定。同時に月間の国債買い入れ額を増額した。変動幅拡大の要因となったイールドカーブの歪みはその後も解消していないが「運用の見直しからさほど時間が経っておらず、一連の措置が市場機能に及ぼす影響を評価するにはなお時間を要する」と述べた。

12月の政策修正は、黒田総裁などの日銀幹部が事前に示唆することなく、市場の意表を突く形で決定された。市場では、1月17―18日の決定会合に向けて再度の政策修正への思惑が高まったものの、日銀は長期金利の変動幅を維持した。階議員は、このところ金融政策の一貫性や予測可能性が「全く欠如している」と指摘した。

黒田総裁は、毎回の金融政策決定会合における具体的な対応は「その時々に得られる様々なデータや情報に基づいて経済・物価・金融情勢を詳細に点検し、それらを踏まえて決定される」と指摘。「具体的な議論や決定の内容を先取りするような形で情報発信することは通常行っていない」とコメントした。

(和田崇彦)