[15日 ロイター] – 過去1年間で米国、英国、フランス、日本などの国々は鳥インフルエンザの感染拡大により記録的な被害を被っている。感染は南米にも広がり、エクアドル、ペルー、ボリビアで感染が確認された。専門家は、感染は渡り鳥によって広がっていると指摘している。

<ヒトへの感染>

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はヒトへの感染リスクは低いと話している。感染防止のため、死亡もしくは感染した動物には触れないよう助言されている。

WHOによると、世界では2003年1月から22年11月25日までに21カ国で868人がH5N1型の高病原性鳥インフルエンザに感染した。

WHOは1月18日、中南米・カリブ海地域でH5型鳥インフルエンザの初めてのヒトへの感染症例を報告。感染したのはエクアドルの農村部に住む9歳の少女で、裏庭で家禽類との接触があり、入院して治療を受けている。

WHOはヒトへの感染について、通常は感染した鳥との直接、間接的な接触や汚染された環境によるものだとしている。

<影響を受けた国>

ロイターが国際獣疫事務局(WOAH)から提供を受けたデータによると、21年10月以降に少なくとも60カ国が鳥インフルエンザの感染拡大に対応して家禽類を処分している。影響を受けた国にはインド、台湾、ネパール、ペルー、チェコ、ルーマニア、ニジェールなどが挙げられる。

<感染する鳥の種類>

専門家の話では、アヒルなどの水鳥を含む野生の鳥が無症状のまま鳥インフルエンザに感染してウイルスを運び、ニワトリや七面鳥など飼育された家禽類に容易に感染するという。

<他の動物の感染>

当局によると、クマやアザラシ、キツネ、スカンクなどの哺乳類がこれまでにH5N1型鳥インフルエンザに感染している。

<感染した家禽類の症状>

米疾病対策センター(CDC)によると、現在世界的に流行している型の高病原性鳥インフルエンザは多臓器疾患を引き起こすことがある。ニワトリは死亡率が90─100%で、48時間以内に発症する場合が多い。

農家は通常、飼育している家禽類の1羽でも鳥インフルエンザに感染すれば、感染を防ぐため全部を処分している。

<食の安全性への影響>

政府による対応策の一環として、影響を受けた鳥は食品の供給網から除外されている。米農務省は、調理済みの鶏肉や鶏卵を食べても鳥インフルエンザには感染しないと説明している。

<状況悪化の経緯>

米農務省の元高官、ジョン・クリフォード氏によると、アジアでカモが長期にわたってウイルスに適応し、死亡せずにウイルスを運ぶようになった。ウイルスはその後、繁殖地に入り込み、渡り鳥を介して世界中に広がったという。