- 再生可能エネ会社に大規模融資のSVB、ESG運用者のお気に入り
- 運用者は気候変動目標にのみ注目、ガバナンスリスクを見落とす
これまでの市場混乱で打撃を被ってきたESG(環境・社会・企業統治)ファンドが、またしても痛い目に遭わされた。
ロシアのプーチン大統領が始めたウクライナ侵攻では巨額のロシア資産を抱えて身動きが取れなくなり、インドのアダニ・グループの株価急落でも直撃を受けた。今度は米シリコンバレー銀行(SVB)に対する判断ミスの後始末に、多くのESGファンドマネジャーが追われている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、欧州連合(EU)の規則の下でESG「促進」ファンドと登録している、あるいは投資「目的」をESGの振興だと説明しているファンドのうち、およそ915本のファンドが直接または間接的にSVBへのエクスポージャーがあった。
ESG投資家にとって、SVBは投資基準のいくつかを満たしているように思われた。再生可能エネルギー会社への融資額が大きく、低炭素社会実現への取り組みを重視するESGマネジャーの間では気に入られていた。だが、これらの運用者はガバナンスリスクにあまり注意を払わなかった様子だ。
「ESGスコアを適切に吟味せずうのみにする怠惰な資産運用者が多い」と、サステナブルファイナンス領域のベテランで、ネクストジェンESGの最高投資責任者(CIO)を務めるサーシャ・ベスリク氏は指摘。SVBの破綻は炭素に全てを賭けるファンドマネジャーが「必ずしも他のリスクを管理できているとは言えない」ことをあぶり出したと述べた。
元HSBCホールディングスのシニアバンカーで、現在はシーウルフ・サステナビリティー・コンサルティングを経営するレベッカ・セルフ氏は、ESGを構成する3要素のうち一つにしか注目せずESGポートフォリオを運用しようというのはそれ自体に大きな危険があると語った。ESGファンドマネジャーは「つながりのない、個別の話題」に注意を向け過ぎていると論じた。
原題:SVB Exposes ‘Lazy’ ESG Funds as Hundreds Bet on Doomed Bank (1)(抜粋)