[ウクライナとベラルーシの国境 8日 ロイター] – ロシアがウクライナ侵攻後に占領地から連れ去った子どもの救出活動を行っている民間団体「セーブ・ウクライナ」がこの週末、新たに31人を帰還させることに成功した。

ベラルーシから国境を越えてウクライナに戻った子どもたちをそれぞれの母親が抱きしめる光景が見られた。

セーブ・ウクライナ創設者のミコラ・クレバ氏は「5回目のミッションが完了しつつある。今回は、連れ戻した子どもの数やミッションの複雑さから特別なものになった」と振り返った。

クレバ氏は8日の会見で「5カ月で5カ所も居場所が変わった子どもがおり、中にはネズミやゴキブリと暮らしていたと言う子もいる」と述べ、彼らはハリコフやヘルソンからロシア側に「サマーキャンプ」の名目で連れ出されたと説明した。

今回帰還した子どもの1人は「私たちは養子縁組され、養父母ができるのだと伝えられた」と明かした。

この会見には先月実施した前回のミッションで救い出された18人の子どものうちの3人も同席。サマーキャンプといって4カ月から6カ月拘束され、その間に移動を強いられたと証言した。

ヘルソンから連れ去られたという1人は「私たちはまるで動物のように扱われた」と訴え、親はもうあなた方に戻ってほしいと思っていないのだと言われたと付け加えた。

ウクライナ政府は、昨年2月に侵攻したロシアがその後1万9500人近くの子どもをロシア本国もしくはロシアが併合したクリミアに強制的に連れ去ったと見積もり、その違法性を糾弾している。

一方ロシア側の言い分によると、子どもを拉致したわけではなく、あくまで安全のために移動させただけだという。

この問題では国際刑事裁判所(ICC)が先月、連れ去りに関与した疑いがあるとして、プーチン大統領に戦争犯罪容疑で逮捕状を出した。