AFP=時事

スイス・ジュネーブで、気候変動の影響に関する年次報告書を発表した世界気象機関のペッテリ・ターラス事務局長(2023年4月21日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News

【AFP=時事】国連(UN)の世界気象機関(WMO)は21日、気候変動の影響に関する年次報告書を発表し、世界の氷河が昨年、劇的なペースで融解したことを明らかにした。WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は、氷河を救う試みは「すでに敗北した」との見解を示している。

【図解】スイス氷河の2000年以降の氷の量の変化を示したグラフ  

WMOによると、過去8年間の気温は観測史上最高を記録。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの濃度も過去最高に達した。南極の海氷面積は過去最小に縮小し、欧州の一部氷河の融解ペースは「文字通り、図表をはみ出すほど高かった」という。  

2021年のCO2の世界平均濃度は415.7ppmと、産業革命前の1750年比で49%増加。メタンは162%増、一酸化二窒素は24%増となった。データからは、22年も増加を続けたことが示されている。  

ターラス事務局長はAFPに対し、「CO2濃度がすでにこれほど高まっていることから、われわれは氷河(を救う)試みにすでに敗北した」と説明。スイスのアルプス山脈(Alps)では昨年夏、氷河融解ペースが過去最高の6.2%に達したと指摘した。【翻訳編集】 AFPBB News