▽トランプ米大統領、「驚くべき」提示あれば関税引き下げにオープン<bloomberg日本語版>2025年4月4日 5:55 JST
Annmarie Hordern
- 株価急落でも自身の関税措置を弁護-「交渉に偉大な力」
- TikTok米国事業売却を承認なら中国に関税軽減提示の用意
トランプ米大統領は3日、仮に他国・地域が何か「驚くべき」ものを提示することができれば、関税引き下げにオープンであると語った。一部高官の主張にもかかわらず、ホワイトハウスに交渉の用意があることを示唆した。
トランプ氏は大統領専用機で、株価急落にもかかわらず自身の関税プログラムを総じて弁護。金利が低下していることをうれしく思うとともに、経済の乱調が収まると考えていると語った。

「関税はわれわれに交渉のための偉大な力を与える」と述べた上で、「あらゆる国がわれわれに接触してきている」と語った。
それは譲歩を考えているという意味かとの質問に対し、トランプ氏は「状況次第だ」と返答。「もし誰かが、何か驚くべきものを提示すると言って、彼らが何か良いものを与えてくれる限りはだ」とコメントした。
トランプ氏が2日、世界の貿易相手国・地域に対し相互関税を課すと発表したのを受け、米景気悪化の懸念が広がって3日の米株式相場は急落。S&P500種株価指数は4.8%安と2020年6月以来の大幅下落となった。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は1.5%の低下。
関連記事:トランプ政権が世界一律10%の相互関税-日本24%、中国は計50%強に
トランプ氏は「米国の市場は活況を呈すると思う。チャンスを与えなければならない。少し時間を与えなければならない」とも指摘。エネルギー価格下落と米10年債利回りの低下に言及し、それらをプラス材料と評した。
「私が望ましいと考えることの一つは金利が下がることだ。食料品価格、卵の価格が下がるのも好ましい。そして非常に重要なのはガソリン価格が下がっていることだ」と論じた。
トランプ氏はまた、字節跳動(バイトダンス)傘下の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業売却を中国が承認すれば、同国に関税軽減措置を提示する用意があるとあらためて表明した。
トランプ氏は1月の就任直後、売却の期限を当初の1月19日から4月5日に延長した。同氏がTikTok買収合意の取りまとめを促すため、期限を再延長するかどうかが焦点となる。
「ディール(取引)に非常に近づいている」と同氏は語った。ただ、中国側が関税とTikTokに絡んだアプローチを追求するかは「分からない」としている。
このほかトランプ氏は、関税の軽減を求める関係者と一日中協議したことを示唆。3日には自動車メーカー経営首脳のほか、イスラエルのネタニヤフ首相と話したことを明らかにした。経営首脳の名前は明かさなかった一方、ネタニヤフ氏が来週訪米する可能性があると話した。
原題:Trump Open to Tariff Cuts in Return for ‘Phenomenal’ Offers (2)(抜粋)
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▽独仏、強力な報復措置主張-マクロン氏は対米投資見合わせ促す<ロイター日本語版>2025年4月3日 13:39 JST
- ハイテクやサービスを標的とする措置検討-デジタルサービス税など
- EU通商担当相は7日に会合、米国の措置とEUの対応について協議
フランスとドイツは、トランプ米大統領の関税措置に対してより強い対応を求め、交渉で欧州連合(EU)の立場を強化できるような強力な報復措置を主張している。
フランスのマクロン大統領は企業に対し、米国での投資を見合わせるよう呼び掛けた。マクロン氏は、関税による影響を受ける業界団体との会合を前に、米国が欧州に対して攻撃的な態度を取っている中、企業が米国で投資することはほとんど無意味だと発言した。
同氏は「大手欧州企業が米国経済に巨額の投資を行っている一方で、われわれを攻撃するとはどういうメッセージなのか」と述べ、「われわれは団結しなくてはならない」と語った。
関連記事:フランス、EUによる米テクノロジー企業への報復提案-関税に対抗
匿名を条件に取材に応じた関係者の1人は「仏政府はEUが自らの利益を守るためにあらゆる手段を講じることを望んでいる」と述べた。
トランプ氏は2日、EUからの輸入品に20%の関税を課すと発表。関税は4月9日に発動するとしている。同氏はEU加盟国が米国から「ぼったくっている」という主張を繰り返し、「情けない」ことだと批判した。
ドイツのハーベック副首相は3日ベルリンで記者団に「昨夜の決定は、ウクライナに対する侵略戦争に匹敵するものだ。対応の規模と決意は、それに相応するものでなければならない」と語った。

ソフィー・プリマス仏政府報道官はRTLラジオで、EUの行政執行機関である欧州委員会は4月末までに米企業にデジタルサービス税を適用する準備ができると述べた。米国はEUとのサービス貿易が黒字となっており、このような措置は米国との関係を悪化させる可能性が高い。
EU全域にわたる課税を実施するには、加盟27カ国の合意が必要となる。
トランプ氏が発表した相互関税は、関税や国内規制、税金など、米国の輸出が海外で直面する貿易障壁すべてを標的とすることを意図している。
欧州委のフォンデアライエン委員長は先に、EUは報復関税や米国のサービスおよびテクノロジー企業を標的とした措置など、「多くのカードを保有している」と述べていた。
トランプ氏が鉄鋼とアルミニウム、自動車と一部の自動車部品に25%の輸入関税を課すと発表した後、EUは金属関税への対抗措置として最大260億ユーロ(約4兆2000億円)の措置を発表しており、4月中旬に発動する見通し。
トランプ氏は木材、医薬品、半導体を含む製品を対象に分野別関税も計画している。
ショルツ独首相は3日ベルリンで「EUは世界最大の単一市場だ。従って、団結して断固とした対応を取る力があり、われわれにはわれわれの手段があることを示すことがでる。それらの手段は使用されるだろう」と述べた。
フランスなどは欧州委に対し、EUの最も強力な通商手段である「反威圧措置(ACI)」の適用を検討するよう呼び掛けているとブルームバーグが以前報じた。
「ACI」はこれまで一度も発動されたことがない。これを発動すればEUは、貿易やサービス、特定の知的財産権、外国直接投資、公共調達へのアクセスに制限を課す可能性がある。
別の関係者によると、米国側が交渉による解決に関心を示していないため、EUでは懸念が高まっている。ACIは議論のテーブルには上がっているが、その影響が甚大になる可能性が高いことから、最後の手段と見なされている。

EUの通商担当相は7日に会合を開き、米国の措置とEUの対応について協議する予定。
フォンデアライエン氏は関税に対して断固とした相応の対抗措置を取ると約束しているが、EUとしては対立を避け今後数週間のうちに交渉による解決策を見つけたいとも示唆している。
トランプ氏の政策は、米国への輸出国全てに基本税率10%の相互関税を課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域を対象に上乗せ税率をそれぞれ適用するという内容。
関税対象が幅広いため、EUが同様の考えを持つ国々と協力することになるかもしれないとハーベック氏は指摘。「新たな同盟の機会が生まれている」とし「カナダやメキシコとの同盟を築くことが今日の急務」だと述べた。
原題:Germany and France Push for a More Aggressive Tariff Response
France’s Macron Urges EU Companies to Pause US Investments (1)(抜粋)
▽ラトニック米商務長官、退治すべきは非関税障壁という「モンスター」<bloomberg日本語版>2025年4月4日 1:32 JST