薦田大和、北村友啓

 衆院の与野党は2日、国会内で国会対策委員長会談を開き、国会改革について議院運営委員会の小委員会で協議を進めることで合意した。審議効率化の必要性ではおおむね一致するものの、野党側は高市首相の出席機会の削減につながることを警戒する。5日召集の臨時国会で議論が本格化するが、どこまで合意形成を図れるかは見通せない。(薦田大和、北村友啓)

 「具体的なことは議論していない。小委員会で詰めてもらうことになる」

会談に臨む与野党の国対委員長ら(2日午前10時59分、国会で)=米山要撮影

 自民党の村井英樹国対委員長は会談後、記者団にこう述べるにとどめた。国会改革の論点としては、審議日程の早期決定やデジタル化のほか、首相の予算委員会への出席機会の削減が想定される。

 村井氏はかつて「首相は国会出席より政策判断や外交に時間を割くべきだ」と主張したことがあるが、野党との交渉を担う委員長就任後は改革の具体像への言及は避けている。臨時国会で重要法案の審議が控える中、「野党の反発を招けば国会運営に影響を及ぼしかねない」(自民関係者)との事情があるためだ。

 先の特別国会では、今年度予算の審議時間が例年より大幅に短縮され、首相の衆参予算委集中審議への出席も少なかった。こうした経緯から、衆院会派「中道」の後藤祐一国対委員長は「単に『高市首相隠し』のような改革なら応じられない」とけん制する。

 ただ、野党内にも、首相の国会出席のあり方に関する議論は必要だとの声はある。国民民主党の古川元久国対委員長は「国会での説明責任と外交などとのバランスをどう取るかだ」と指摘した。

想定される国会改革の論点と主な野党の立場

 与党は、党首討論の充実などを前提に、首相の予算委への出席削減を視野に入れるが、提起するタイミングは慎重に見極める構えだ。当面は、野党側の同意を得やすいデジタル化や審議日程の早期調整で成果を積み上げ、改革機運を醸成する戦略を描く。この日の会談でもデジタル化関連の複数の提案があった。

 古川氏は「臨時国会で結論を出し、来年の通常国会から新しいあり方でスタートしてほしい」と記者団に語った。もっとも、協議は具体論に入ると各党の思惑がぶつかり合う可能性があり、国会情勢にも左右されやすいため、自民内からも「臨時国会で本格的な成果を得るのは難しい」(幹部)との見方が出ている。

「仕事量多すぎる」指摘…調査機関 あり方検討促す

 国会改革に関しては、民間機関から、首相の国会出席のあり方について検討するよう促す提言が出ている。

 少子化相を務めた小倉将信・元衆院議員が所長を務める調査研究機関「NXJIリサーチ」は9月に公表した「総理の時間の使い方」と題したリポートで、予算委員会を含む各委員会への首相の出席を原則不要とするよう提案した。

 国会への出席日数が欧米諸国の首脳と比べて多く、答弁に向けた準備に長時間を要しているとして、「首脳外交や重要な政治判断など、首相にしか対応できない事案に時間を振り向けるべきだ」と唱えた。野田佳彦元首相はリポートに掲載されたインタビューで「国会での熟議は必要だが、日本の首相の国会における仕事量が多すぎることは弊害だ」との見解を示した。

 小倉氏は読売新聞の取材に「国際情勢が緊迫化する中、首相の時間を有効活用し、国益を最大化すべきだ」と強調した。小倉氏は衆院議員時代、国会改革を積極的に唱えてきた小泉防衛相と近いことで知られた。

 経済界や学識経験者らでつくる令和国民会議(令和臨調)も2025年にまとめた報告書で「効率的で合理性ある国会運営」の実現を求めた。審議日程をあらかじめ決めておくことや党首討論を活用することを前提に「首相の国会出席を限定」すべきだと提起した。