
[キーウ/ロンドン 14日 ロイター] – ウクライナは14日、米実業家イーロン・マスク氏率いるスペースX(SPCX.O)、新しいタブで開きますが衛星通信サービス「スターリンク」の利用を制限したと明らかにした。スターリンクが欠かせないドローン(無人機)を利用した戦闘任務のほか、防空活動などに支障が出ているという。米国とウクイライナの関係が急速に冷え込む中、トランプ氏の有力な同盟者であるマスク氏の企業がウクライナ軍の能力を制限している可能性が浮上したことで、米国が圧力を加えて譲歩を迫るのではないかとの懸念がウクライナで高まっている。
英国を訪問中のウクライナのゼレンスキー大統領は「スターリンクや情報共有を巡り、いくつかの問題が生じているのは残念だ。真のパートナーシップがあれば予想できないような様々な事態が起きている」と述べ、米国との関係を巡る最近の展開に驚いているとの認識を表明。「ウクライナは米国とのパートナーシップを頼りにしている」とし、「ウクライナは誠実、かつ率直で、強力なパートナーでありたい」と語った。
マスク氏は、スターリンクの速度に関する設定は全て米政府と米軍が管理していると説明した。「速度や利用に関する制限は全て米軍、最終的には米大統領が決める」とXに投稿した。
ホワイトハウスはコメント要請に直ちに応じなかった。
ウクライナ軍当局者によると、スペースXは事前通告なしに、高速で移動する際の軍用スターリンク端末の機能を停止した。ウクライナは多くのドローンにスターリンク受信機を搭載し、誘導システムの一部として活用しており、ロシア支配地域を含むウクライナ全土で利用している。
ウクライナのベスクレストノフ大統領顧問は「ウクライナの防衛部隊はこうした制限について事前通知を受けておらず、その結果、複数の任務が妨げられた」と通信アプリ「テレグラム」に投稿した。
ベスクレストノフ氏によると、スペースXは時速160キロの速度制限を導入。ウクライナ国防省筋はロイターに対し、一部部隊からはこの半分にも達しない速度で誘導システムの通信が切断されたとの報告が寄せられていると明らかにした。こうした速度制限により、ウクライナ国内にあるロシア軍目標への攻撃のほか、ロシア軍のドローンに対する防空活動などが妨げられているという。
ウクライナ国防省筋によると、今回の突然の制限について説明を求めるため、ウクライナ政府はスペースXのほか、米政府、北大西洋条約機構(NATO)と協議している。
ロシアはこの日もウクライナ各地に対するミサイルやドローンによる攻撃を続け、大規模な停電が発生するなど被害が広がった。ロイターなどはこれまで、米国はウクライナに対しロシアの石油精製施設への攻撃停止を求める圧力の一環として、ミサイル攻撃の早期警戒に関する情報提供を停止する可能性を示唆していると報じている。