西山 諒、大竹直樹

中国軍が台湾を取り囲む形で大規模な軍事演習を行った時期に、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で、貨物船を装った偽の船舶自動識別装置(AIS)の信号が中国側から発信されていたことが判明した。何者が、どんな意図で行ったのか。船舶を標的に航路を狂わせる「サイバーテロ」も懸念される。

尖閣沖に昨年末出現した「幽霊」貨物船 中国「軍港」周辺から偽装信号を発信か

複雑な「航跡」

船舶の位置情報を確認できるサイト「マリントラフィック」の解析や関係者によると、偽の信号が発信されていたのは昨年12月19日早朝~今年1月1日早朝(日本時間)。「FUCK JAPAN(くたばれ日本)」という船名の貨物船で、尖閣諸島の領海に侵入すると魚釣島と北小島の間を抜け、魚釣島南方の接続水域で針路を反転。魚釣島の北約155メートルに停泊していたかのような航跡を残していた。

元海上保安庁幹部で、尖閣を管轄する第11管区海上保安本部(那覇)の領海警備担当次長を務めた経験を持つ遠山純司(あつし)氏は「(尖閣の領海にしばしば侵入する)中国海警船は、戦略的にAIS信号を発信したり消したりしてきた。偽の信号に関与した組織は分からないが、日本側の撹乱や、海保の出方をチェックする狙いがあったのではないか」と警戒する。