米中間選挙は米国時間3日に投票日を迎え、日本時間4日にかけて投開票が行われる。主要メディアの報道によると、選挙情勢は民主党に有利に動いているようだ。有力視されているのは、民主党が下院を奪還し、上院では最後まで激戦が続くという見方だ。上院でも民主党が競り勝てば、上下両院の多数派を握ることになる。

そこで投開票直前のこの時期に、トランプ大統領率いる共和党が大逆転するシナリオを考えてみた。念のために書くが、トランプ氏を支持しているわけではなく、逆転を予測する確かな根拠があるわけでもない。報道が一つの方向に傾くとき、その背後にいくつかの「死角」が隠れている可能性を考えているだけだ。

死角その1は、「隠れトランプ派」の存在である。ヒラリー・クリントン氏と争った2016年の大統領選では、多くのメディアがクリントン氏の勝利を予想した。ところが、結果はトランプ氏の勝利だった。一部の激戦州で世論調査が同氏の支持を過小評価していたことから、表立って支持を明かさない「隠れトランプ派」の存在が注目された。

今回の選挙では、こうした支持層を十分に捉えられているのだろうか。各種の世論調査ではトランプ氏の支持率低下が伝えられる一方、各地の選挙集会には多くの人々が集まっている。子ども連れや恋人同伴の姿もある。

もちろん、集会には実物のトランプ氏を一目見たいという見物客もいるだろう。参加者のすべてが支持者とは限らない。それでも、良くも悪くも人々を引きつける力があることは確かだろう。

最近のトランプ氏の政策には、失敗と評さざるを得ないものが多い。イランの抵抗に遭い、ロシアのプーチン大統領には、まるで手下であるかのようにあしらわれている印象さえある。おまけに、ノーベル平和賞への執着を隠さない“品のなさ”には辟易する。

こうした姿を見て、内心では支持していても、世論調査では支持を明かすことをためらう有権者がいるのではないか。ただし、それが支持率低下の原因だと断定することはできない。

支持率の低下を、そのまま共和党への投票意欲の低下と見てよいのか。トランプ氏の言動には不満でも、投票では共和党を選ぶ有権者がいる可能性はある。ここに、大逆転の一因が隠されている気がする。

死角その2は、5000ドルの支給案だ。トランプ氏は、共和党が上下両院で多数派を維持した場合、成人の米国市民に1人当たり5000ドルを支給すると公言している。仮に1ドル=160円で換算すると約80万円。成人の米国市民4人からなる世帯なら、計約320万円になる。

この約束に心を動かされる有権者は、まったくいないのだろうか。

米国の有権者は、いま物価高に悩まされている。民主、共和両党ともインフレ対策の強化を掲げているが、物価上昇を抑えることは政治家にとっても容易ではない。その点、5000ドルという金額は具体的で分かりやすい。

もちろん、この支給案にも議会の承認や財源確保という課題があり、実現が保証されているわけではない。それでも、目の前の生活に苦しむ低所得者層の心を揺さぶる可能性はある。メディアは、こうした有権者の心の奥底まで見通せているのだろうか。給付への期待が、投票先を決めかねている人々を動かすことも考えられる。

米国では近年、民主、共和両党の間で政権交代が繰り返されている。2016年には共和党のトランプ氏が勝ち、2020年には民主党のバイデン氏が勝利した。2024年にはトランプ氏が政権に返り咲いた。いずれも、相手側への不満を追い風にした面があるだろう。

どちらが勝っても暮らしが良くならないと感じている有権者なら、「今度は5000ドルに賭けてみよう」と考えても不思議ではない。

一方、選挙直前のイラン情勢にも動きが出ている。米国とイランの交渉を仲介するカタールの首都ドーハでは協議が行われ、イランのペゼシュキアン大統領は、最高指導者から政府に交渉を進める権限が与えられたと説明している。投開票を目前に、戦争終結に向けた交渉は微妙な局面に入っている。

トランプ氏はこれまで、選挙後の対イラン攻撃再開をちらつかせてきた。ただ、2日には、選挙後の攻撃を検討しているかとの問いに否定的に答え、合意の可能性にも言及した。攻撃の示唆は、イランに譲歩を迫るための“脅し”だったのだろうか。

戦争も選挙も、最後に大どんでん返しがあるかもしれない。

ジャーナル(3日):トランプ大統領は敗北するか、隠れトランプは消えたか=大逆転の可能性を読む

米中間選挙の投開票が翌日に迫ってきた。主要メディアなどの報道によると選挙の大勢は民主党に有利に動いているようだ。一番有力な説は民主党が下院を奪還し、上院は最後の最後まで激戦が続いているというもの。上院で民主党が競り勝てば上下両院を民主党が支配する可能性が強いと見られている。

そこで投開票直前のこの時期に、トランプ大統領率いる共和党の大逆転劇のシナリオを考えてみた。念のために書くがトランプ大統領を支持しているわけではないし、特にこれといった根拠がある訳ではない。メディアの報道が偏る時には背後にいくつかの「死角」が隠されている可能性があると考えているだけだ。

死角その1。トランプ支持者には常に「隠れトランプ派」が存在していることだ。クリントン女史と争った2016年の大統領選挙でメディアは、クリントン氏の大勝を予想した。結果はトランプ氏の大逆転勝利。メディアが見誤ったのはトランプ氏に投票した有権者の多くが「隠れトランプ派」だったことだ。

今回の選挙でこの構造は解消されたのだろうか。各種の世論調査を見ると、トランプ氏の支持率は史上最低に落ち込んでいる。にもかかわらず同氏が各地で繰り広げているw集会には予想を圧倒するような有権者が集まっている。中には子供連れや恋人同伴といった人々もいる。

選挙集会に集まった人々の中には実物のトランプ氏を一目見たいという興味本位の見物者もいるだろう。だからすべてが支持者というわけではないだろうが、いい意味でも悪意味でも人気があることは間違い無いだろう。

加えて最近のトランプ氏の政策は失敗が多い。イランの抵抗に合いロシアのプーチンには手下でおあるかのように「あしらわれている」雰囲気がある。おまけにノーベル賞欲しさの“品のなさ”には辟易する。世論調査に当たった有権者にしてみれば、こんな人を支持するとは恥ずかしくて言えないだろう。だから支持率は下がる。

と見れば、支持率の低下は府支持率の増加とは言えないだろう。内心は相変わらずトランプ氏を支持している。ここん大逆転劇の一つ要因が隠されている気がする。

死角その2。トランプ氏は共和党が上下両院で多数を握った場合、成人している米国人に5000ドル支給するとこげんしている。日本円にして約80万円だ。この約束にここを動かされる有権者はまったくいないのだろうか。成人の4人家庭ならなんと320万円の臨時収入が得られるのだ。

米国の有権者はいまインフレに悩まされている。民主党も共和党も選挙公約として「インフレ対策を強化する」と公約している。だがインフレを抑えこむのは政治家にとって簡単に」できるわけではない。実現がはっきりしない公約よりもはるかにトランプ氏の約束は明確だ。とりわけ抵触者の心を揺さぶるだろう。メディアはこうした有権者の心の奥底までは見通せていないのではないか。かくして低所得者の浮動票が動くのだ。

米国の選挙はこのところ民主党と共和党の間で行ったり来たりている。2016年、2020年と大統領選挙はスイングした。いずれの選挙も“敵失”のようなものだ。どっちが勝利しても有権者の生活は良くならない。だから「5000ドルに賭けてみよう」、こんな有権者もいるのではないか。

今朝のニュースのなかに米国とイランの停戦交渉を仲介するカタールの代表団が、イラン入りしたとの報道がある。ペゼシュキアン大統領は「最高指導者が政府に一定の権限を与えた」との認識も示している。選挙の投開票を目前にしてイラン戦争は微妙な動きになっている。

トランプ氏のもう一つの“約束”は、中間選挙後にイランに大規模な攻撃を仕掛けるというものだ。こちらは選挙公約とは違うが、イランに対する“脅し”だったのだろう。戦争も選挙も大どんでん返しがあるかもしれない。