• 会社資金の私的流用に司法取引の適用、海外子会社の関与まで
  • 東京地検は有価証券報告書に約50億円少ない報酬を虚偽記載と発表

会社資金の私的流用、司法取引の適用、海外子会社の関与--。日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者ら同社首脳2人の逮捕から一夜明けた20日、不正行為の一部が次々と報道で明らかになっている。

カルロス・ゴーン会長、Photographer: Simon Dawson/Bloomberg

NHKはゴーン会長が正当な理由がないのにブラジルやレバノン、フランス、オランダの4カ国で住宅の提供を受けていたと報じた。関係会社が保有し、購入費用や改築費用などとして数十億円が支払われたが、一部家賃を支払っていなかったという。ブルームバーグは同社への取材を試みたが回答は得られていない。

また、NHKは同日夕、関係者への取材で、ゴーン会長が数千万円の家族旅行の代金や飲食代などを日産の子会社に負担させていたことが分かったと報道した。

今回の逮捕の発端となったのは内部告発だった。西川広人社長は19日夜、本社(横浜市)で開いた記者会見で、「内部の通報に端を発して監査役からの問題提起を経て社内調査を行った結果、両名の主導による複数の重大な不正の事実確認に至った」と説明。同社から検察へ報告し、捜査に全面協力したことを明らかにした。

20日付の朝日新聞は、今回の捜査では、捜査に協力する見返りに刑事処分を軽減する司法取引制度が適用されたと報じた。今年6月に始まった同制度の適用は2例目で、同社社員がゴーン会長の不正について捜査に協力したとみられるという。

一方、日本経済新聞は電子版で、ゴーン会長がベンチャー投資名目で海外子会社をつくり、自宅用の高級住宅を購入させていた疑いがあると報道している。

東京地検特捜部は19日、ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕した。同地検によると、2011年3月期から15年3月期までの各連結年度において、報酬約99億9800万円を約49億8700万円と虚偽記載した有価証券報告書を提出したと発表した。