[ロンドン 27日 ロイター] – 英国のメイ首相は27日、議会が3度目の採決で自身の欧州連合(EU)離脱協定案を可決すれば辞任する意向を表明したが、同案に強硬に反対する勢力を翻意させることはできなかった。代替案を模索するために行われた投票も不発に終わり、行き詰まりは全く解消されていない。 

メイ首相は与党・保守党の議員会合で、協定案が最終的に可決されれば退陣すると表明、最終手段に打って出た。 

ただ、反対派の一部は態度を変えず、メイ政権に閣外協力する北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)は首相の案に再び反対票を投じると明らかにした。DUPのフォスター党首はメイ氏が退陣を表明してから数時間後に「われわれは離脱協定案に賛成できない状況にある」と述べた。 

離脱期日は今月29日だったが、EU首脳は前週、離脱協定案が英議会で承認されない場合は4月12日まで離脱日を延期し、それまでに新たな計画を示すか、合意なき離脱を選ぶか決断するよう求めた。 

離脱がいつ、どのように実現するのか、あるいは本当に実現するのかは現在に至るまで不透明なままで、英経済への悪影響を和らげるための合意を結ばないまま離脱するか、離脱日をさらに延期して総選挙を実施するという2つの選択肢がより現実的なものになり、他の可能性は後退した。 

<代替案を模索> 

英下院はこの日、EU離脱に関し過半数の支持が得られる代替案を模索するための「示唆的投票(indicative vote)」を実施したが、8つの案すべてで反対票が賛成票を上回った。 

保守党のジェームズ・クレバリー副幹事長はツイッターへの投稿で「下院はEU残留案を否決し、全てのEU離脱案も否決し、その甚だしく優柔不断な態度を鮮明にした」と批判した。 

ただ、一部の代替案はメイ首相の離脱案が2週間前の採決で集めたよりも多くの賛成票を得た。その1つはいかなる離脱案についても国民投票を実施する案で、もう1つは英国全体がEUと関税同盟を結ぶというものだ。議会は過半数の賛成票を確保する可能性が高い案を手直ししたうえで来週4月1日にさらなる投票を実施する予定。 

一方、下院のバーコウ議長は27日、メイ首相の離脱協定案について、これまでに議会で否決されたものと根本的に異なるものでない限り、議会採決を提案することはできないとの見解をあらためて示した。 

同離脱案は1月15日の1回目の採決では230票差で否決され、3月12日の2回目は149票差で否決された。可決に持ち込むには、メイ首相は反対派の75人以上を翻意させる必要がある。 

首相府によると、メイ首相の離脱案が議会を通過した場合、同氏の後任選びは5月22日となる新たな離脱日以降に行われる見通し。