【北京時事】中国当局によるイスラム教徒の少数民族、ウイグル族に対する弾圧が国際社会で非難される中、北京のイスラム教徒向け飲食店の看板からアラビア文字が排除されている。イスラム教を「中国化」する政策の一環とみられ、統制強化にイスラム教徒の不満が広がっている。

米、ウイグル族拘束中止求める=「非常に恥ずべきこと」

 中国でイスラム教徒向けの料理は「清真料理」と呼ばれ、漢族にも人気がある。清真料理店にはアラビア文字の看板やモスクの写真などが掲げられるのが一般的だった。しかし、1日に北京市内にある清真料理の人気店を訪れると店内にアラビア文字は見当たらず、表示はすべて漢字になっていた。

 北京市の全ての清真料理店からアラビア文字が消えたわけではないが、多くのイスラム教徒が集まる牛街地区ではアラビア文字が消し去られた痕跡が残る一方、真新しい漢字表記の看板が目立つ。北京在住の30代のイスラム教徒の男性によると、料理店からアラビア文字が消え始めたのは春以降。男性は「当局の指示のようだ。気分は良くない」と語った。

 習近平指導部は少数民族や宗教に対する統制を強めており、新疆ウイグル自治区では収容施設に多くのウイグル族が不当に拘束されていると指摘される。7月上旬、日本を含む22カ国が国連人権理事会に自治区の状況を問題視する書簡を出した。

 これに対し、自治区政府幹部は7月30日に記者会見し、ウイグル族の収容施設について「職業訓練を行っている」と説明。その上で「(施設に入った)大多数が既に社会復帰し、90%以上が適切な職を見つけ十分な収入を得ている」と主張した。しかし、客観的なデータや具体的な根拠は明示されず、かえって疑念を招いている。