[ドバイ 16日 ロイター] – サウジアラビア東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が14日に受けた攻撃について、米国はイランが背後にいると非難する中、サウジが主導する有志連合は16日、攻撃にイランの武器が使用されたとの見解を示した。 

この攻撃についてはイエメンの親イラン武装組織フーシ派が無人機(ドローン)で攻撃したと犯行声明を発表。トランプ米大統領は15日、米国は臨戦態勢ができていると述べたほか、ペリー・米エネルギー長官は16日、サウジの石油施設に対する攻撃は世界経済、および世界的なエネルギー市場に対する攻撃であり、こうした行為は容認できないと強く非難した。 

<原油価格一時19%高> 

アラムコによると、攻撃によりサウジの石油生産は日量570万バレル減少する見通し。これは世界の石油供給の5%超に相当する規模で、原油価格は一時19%高と、1日の上昇としては1990─91年の湾岸戦争以来の大きさとなった。 

当初は数週間で通常の水準を回復するとみられていたが、アラムコの運営状況に詳しい複数の関係筋はロイターに対し、通常の水準に戻るまで数カ月かかる可能性があると明らかにした。 

こうした中、トランプ大統領は15日、必要に応じて戦略石油備蓄を放出することを承認したと表明。放出量については未確定としながらも、市場の潤沢な供給を維持する量になるとした。 

トランプ大統領が備蓄放出を承認したことに加え、産油国が十分な在庫を備えていることを明らかにしたことを受け、原油市場はやや落ち着きを取り戻し、16日GMT1645(日本時間17日午前1時45分)現在、上げ幅は約12%に縮小している。 

<イランは米の非難を否定、フーシ派は一段の攻撃を警告> 

イランは攻撃の背後にはイランがいるとの米国の主張を否定。ロウハニ大統領は訪問先のアンカラで行ったトルコとロシアの大統領との共同記者会見で、サウジが主導する連合による何年にもわたる攻撃を受け、「イエメン国民」が攻撃を実施したと主張。「イエメンの国民は自衛という当然の権利を行使している」と述べた。 

武装組織フーシ派と戦っているサウジ主導の連合軍の報道官はリヤドで行った記者会見で、攻撃がどこから行われたかについてはまだ調査中としながらも、「暫定結果によると使用された武器はイランのもので、攻撃はフーシ派が主張するようにイエメン国内からのものではなかった」と述べた。 

イエメンの国連大使は国連安全保障理事会に対し、攻撃の背後に誰がいたのかは分からないと表明。ただ米国のケリー国連大使は安保理で、攻撃がイエメンから行われた証拠はないとし、攻撃の責任はイランにあることが入手しつつある情報で明らかになっていると述べた。 

イランが攻撃への関与を否定する中、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は16日、アラムコの石油施設は引き続き攻撃対象となっており「今すぐにでも」攻撃は可能として、外国人に対し同地域から退去するよう警告。フーシ派の報道官はツイッターへの投稿で「サウジはイエメンに対する武力侵略と封鎖」をやめるべきだと主張した。 

こうした中、ロシアのプーチン大統領は、サウジが自国のインフラを防衛できるようミサイル防衛システムを提供できると提案。ロシアは中国とともに、今回の攻撃を誰が行ったかについて安易に結論付けてはならないとの立場を示した。 

英国はこうした攻撃は「理不尽な国際法違反」に当たるとして非難した。