• 米中協議に不確実性もたらすが合意の成否を必ずしも左右せずと識者
  • 中国が貿易協議を遅らせた場合、12月半ばの関税引き上げに直面

トランプ米大統領の署名で香港人権法が27日に成立したことを受け、中国はあらためて報復措置を警告しているが、これまでのところ具体策は示していない。

中国外務省の耿爽報道官は28日の定例記者会見で、中国はいつ報復するのかや、貿易協議に影響するかどうかといった記者団からの質問に直接答えることはなく、「このまま見守ってほしい。来るものは来る」と語った。

準備する時間が十分あったにもかかわらず中国が具体策を打ち出せないでいるのは、自国経済に跳ね返ることなく対米制裁を行うのが難しいためだ。

中国商務省・国際貿易経済協力研究院の研究員である梅新育氏は、米中貿易交渉で香港問題が話し合われることは確実だと指摘。中国が米国側に立場の明確化を要求する公算が大きく、香港人権法の活用を控えるという言質を求める可能性さえあると述べた。

梅氏は、これと並行して中国は何らかの対抗措置を準備するだろうと、中国外務省の説明と同様の見解を示しつつも、「進行中の米中貿易協議にある程度の不確実性をもたらすだろうが、合意の成否を必ずしも左右しないと思われる」と話した。

貿易協議の進展を遅らせるのが中国が講じることのできる最も分かりやすい報復の手法だが、同国政府は協議を続けるためにこれまで多くの我慢をしてきた。第1段階の合意に至らなければ、中国は12月半ばに米国による新たな関税引き上げにも直面する。

報復措置の他の選択肢もあるが、そのほとんどが中国経済への悪影響を伴う恐れがあり、国内の経済問題が山積し、香港情勢に収束の兆しが見られない中にあって、そうした裏目に出るような事態は習近平国家主席としても招きたくないものと考えられる。  

原題:The Big Question on Hong Kong: How Will China Hit Back at Trump?(抜粋)