
[1日 ロイター] – 米新興の人工知能(AI)開発企業アンソロピックは1日、米国での新規株式公開(IPO)を非公開で申請したと発表した。注目を集めるIPOレースで競合の米オープンAIに一歩先んじた格好だ。
IPOの規模や条件については明らかにしていない。
エージェント型コーディング支援ツール「クロード・コード」を手がけるアンソロピックは先週、新たに650億ドルの資金を調達し、企業価値が9650億ドルに達したと発表。対話型AI「チャットGPT」を手がけるオープンAIの企業価値(3月時点で8520億ドル)を上回った。
ロイターは5月、オープンAIも今後数週間以内に米IPOを非公開で申請する準備を進めていると報じた。また、米実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXも超大型IPOを申請している。 もっと見る
非公開での申請は、機密性の高い財務の詳細を競合他社や一般から保護しつつ、IPOの準備を進めることを可能にする。
IPO調査会社IPOXのバイスプレジデント、カット・リュー氏は「スペースXの直後に申請することで、アンソロピックは追い風が続いている間に、AIと成長株に対する投資家の強い関心を取り込むことができる」と指摘。「(スペースXと比べると)アンソロピックの企業価値を巡る野心は、単独で見た場合よりもはるかに控えめに映る」と述べた。
<AI覇権争い>
AIブームは企業戦略を塗り替え、計算能力と人材を巡る世界的な争奪戦を引き起こし、AI関連企業を市場で最も高く評価される企業の一角に押し上げた。オープンAIとアンソロピックはそうしたAIブームの象徴的存在となっている。
調査会社ピッチブックのシニアアナリスト、ハリソン・ロルフェス氏は「従来の見方ではオープンAIにとって、アンソロピックが先に申請することでストーリーの主導権を握ったということになる」と指摘。「だが見方を変えれば、オープンAIはむしろ有利な立場にある。アンソロピックが開示リスクを真っ先に引き受けてくれた格好で、オープンAIは最先端AIの監査済み財務情報に機関投資家がどう反応するかを見極めてから、自社の価格設定を決められる」と述べた。
将来の出来事の結果に賭ける予測市場では、大半の参加者がアンソロピックよりオープンAIの方が先にIPOを申請すると予想していた。
オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はアンソロピックの非公開申請の報道を受け、CNBCのインタビューで、自社のIPO時期については重視していないと語った。
その上で、理にかなったタイミングで上場すると述べた。